国分寺(四国八十八ヶ所霊場第29番札所)

聖武天皇の勅願で全国に建てられた国分寺のひとつ、土佐国分寺として741(天平13)年、行基が創建という古刹で、本尊の千手観音像、脇侍の不動明王、毘沙門天ともに行基の作と伝わります。のちに空海が42歳の折に星供の秘法を修めた寺で四国八十八ヶ所霊場29番札所になっています。本尊は千手観世音菩薩。

聖武天皇の勅願で全国に建立された国分寺のひとつ

930(延長8)年、紀貫之(きのつらゆき)は国司として土佐国の国府(国庁=国分寺から徒歩15分)で4年間を過ごし、有名な『土佐日記』を著しています。
国庁近くにあった土佐国総社は現在国分寺境内に遷されています。
数多くの史跡が残っていることから、国分寺の境内全域が国の史跡。

本尊の千手観世音菩薩像、平安後期の檜の一木造りと鎌倉時代の寄木造りの2体の木像薬師如来立像は国の重要文化財。
本尊の千手観音を安置する金堂(本堂)は、1559(永緑元)年、長曾我部国親・元親親子の建立で、国の重要文化財。
金堂に安置される739(天平11)年築造とされる梵鐘も国の重要文化財に指定されています。

1655(明暦元)年建立の山門は、土佐藩2代藩主・山内忠義の寄進。
大師堂、鐘楼、開山堂なども江戸時代の建築です。

スギゴケの美しい庭園は、古代国分寺の塔心礎を主石とするユニークな庭で、歌碑や句碑が並び散策に絶好。

土佐国分寺跡

昭和52年から行なわれた国分寺境内の発掘調査では、弥生時代の住居跡も発見されています。
国分寺としての伽藍配置を示す遺構は現存しませんが、寺域を画する土塁は残され、寺域には古瓦、書院の内庭園には塔心礎などが残されています。
寺の北東、北部グラウンドの先には紀貫之が赴任した屋敷跡(紀貫之邸跡)、比江廃寺跡(高知県県下最古の寺院跡)、土佐国衙(とさこくが)跡、「曲水の流れ」などを配した平安朝をテーマとした庭園『古今集の庭』もあるのであわせて見学を。
土佐国分尼寺は、いまだ判明しておらず、国分寺の北東2kmに位置する比江廃寺跡とするのが有力。
白鳳時代の寺が、国分尼寺に転用されたという推測で、巨大な五重塔の礎石も見つかっています。

霊場間の距離・時間

28番札所・大日寺(高知県香南市野市町母代寺) — (12km/20分) — 29番札所・国分寺(高知県南国市国分) — (11km/30分) — 30番札所・善楽寺(高知県高知市一宮しなね2丁目)

取材・画像協力/高知県

国分寺(四国八十八ヶ所霊場第29番札所)
名称国分寺(四国八十八ヶ所霊場第29番札所)/こくぶんじ
Temple 29: Kokubunji
所在地高知県南国市国分546
関連HP国分寺公式ホームページ
四国八十八ヶ所霊場会公式ホームページ
電車・バスでJR後免駅から徒歩30分
ドライブで高知自動車道南国ICから約3km
駐車場45台/無料、一部は18:00まで
問い合わせ国分寺 TEL:088-862-0055/FAX:088-862-0056
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

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