熊本県天草市天草町大江に建つ潜伏キリシタンに関する約500点の貴重な資料を展示する資料館が天草ロザリオ館。里人が密かに祈りを捧げた「隠れ部屋」を祈りの声(オラショ)とともに縮小してリアルに再現し、当時の強い信仰心を知ることができます。
潜伏キリシタンの過酷な歴史を学ぶ
天草市の大江地区は天草の乱で全滅したと思われていたキリシタン信者が、潜伏キリシタンとなり信仰を守り続けた地で、世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産となる大江教会が建っています。
天草キリシタンたちの生活や文化などに関わる遺品などを数多く展示するほか、映像ホールでは天草キリシタンの歴史や姿を3D立体映像で紹介しています。
大江集落の文政9年(1826年)に建てられた古民家(山下家)には潜伏キリシタンが信仰を守るため密かに設けた「隠れ部屋」が現存していますが、天草ロザリオ館の館内にも「隠れ部屋」を縮小して再現したコーナーがあり、和服姿で十字架に祈りをささげる当時の信者たちの人形が置かれています。
「隠れ部屋」のある山下家には、大切に保管されてきたメダイ(メダル)がありましたが、現在、そのメダイ(表に聖体を拝む2人の天使が描かれ、裏にはポルトガル語で祈りの言葉が刻まれています)も天草ロザリオ館で展示されています。
文化2年(1805年)、﨑津・今富・大江・高浜の四郷1万669人中5205人の潜伏キリシタンが摘発される「天草崩れ」が発生します。
幕府は大規模な処罰をすると天草の経営が成り立たなくため、「心得違いをしていたが改心した」という高浜の庄屋・上田宜珍(うえだよしうず=現存する上田家庄屋屋敷を建てた庄屋)のとりなしを受け入れ、その後もキリシタンは、厳しい監視を受けながら潜伏を続けたのです。
「隠れ部屋」やメダイはそうした歴史を今に伝える貴重な歴史遺産になっているのです。
天草ロザリオ館に併設して「天草市立天草玩具資料館」があり、全国各地から集めた郷土玩具・民俗玩具を展示しています。
広域合併で誕生した天草市には、旧本渡市の船之尾町に「天草キリシタン館」、旧河浦町に「天草コレジヨ館」があります。
天草ロザリオ館 | |
名称 | 天草ロザリオ館/あまくさろざりおかん |
所在地 | 熊本県天草市天草町大江1749 |
関連HP | 天草宝島観光協会公式ホームページ |
電車・バスで | 本渡バスセンターから天草産交バス富岡港行きで50分、志岐下車、九州産交バス河浦高校行きに乗り換え55分、天主堂入口下車、すぐ |
ドライブで | 富岡港から約27km。鬼池港から約39km。本渡港から約40km |
駐車場 | 30台/無料 |
問い合わせ | 天草ロザリオ館 TEL:0969-42-5259 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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