大江教会

大江教会

熊本県天草市天草町大江にあるキリスト教解禁後、天草で最も早く造られた教会が大江教会。現在のロマネスク様式の大江天主堂は、昭和8年、フランス人宣教師のガルニエ神父によって建設されたもの。世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産になっています。

ガルニエ神父が私財を投じて建築した天主堂

大江教会

天草市の大江地区は島原天草一揆(島原天草の乱)で全滅したと思われていたキリシタン信者が、禁教時代に潜伏キリシタンとなり信仰を守り続けた地。
文化2年(1805年)、﨑津・今富・大江・高浜の四郷1万669人中5205人の潜伏キリシタンが摘発される「天草崩れ」が発生します。
幕府は大規模な処罰をすると天草の経営が成り立たなくため、「心得違いをしていたが改心した」という高浜の庄屋・上田宜珍(うえだよしうず=現存する上田家庄屋屋敷を建てた庄屋)のとりなしを受け入れ、その後もキリシタンは、厳しい監視を受けながら潜伏を続けたのです。
明治6年のキリスト教解禁後、天草で最も早く造られた教会が大江教会で、その根強い信仰がよくわかります

大江天主堂を私財を投じて建設したフレデリック・ガルニエ神父((Frederic Louis Garnier)は、明治18年にフランスから来日。
明治25年に天草・大江教会に司祭として赴任し、昭和17年に大江の地で亡くなるまでの50年間天草で生活し、一度も故国に帰ることはありませんでした。
﨑津教会の神父も兼任したガルニエ神父が「神父道」と呼ばれる峠道(﨑津の「メゴイナイ」と呼ばれる行商も利用した峠道=大江道)を往来し、両地区にキリスト教を布教したことから、﨑津集落と密接な関係にあります。

設計・施工は、長崎県南松浦郡魚目村(現・新上五島町)出身の大工棟梁・鉄川与助(てつかわよすけ)。
ゴシック様式の﨑津天主堂(大江天主堂完成の翌年、昭和9年の完成)も鉄川与助で、独学で西洋の教会建築様式を勉強し、外国人宣教師の指導を受けながら教会を建てていますが、その熟成した技術を集約。
青空に映えるロマネスク様式の白亜の天主堂は「丘の天主堂」と呼ばれています。

敷地内にはキリスト教の聖地であるフランスのルルドの聖母像とルルドの泉を模した洞窟が再現されています。
毎年12月初旬~1月初旬には「大江クリスマスイルミネーション」も実施され、幻想的に照らされる天主堂はロマンチック。
大江天主堂から徒歩5分ほどのところには、「天草ロザリオ館」があり、潜伏キリシタンの歴史を解説し、弾圧に耐え抜いた信徒たちの信仰心を感じ取ることができます。

教会は祈りの場、節度を持って拝観を(教会内部の写真撮影は禁止)。
ミサ・葬儀結婚式など教会行事が行なわれる際には、入館できません。

与謝野寛(与謝野鉄幹)が、学生だった太田正雄(木下杢太郎)、北原白秋、平野万里、吉井勇の4人を連れて旅した記録『五足の靴』で知られる天草旅行でも、明治40年8月9日、大江の「高砂屋」(廃業)に宿泊し、翌8月10日にガルニエ神父(文中では、地元信者の呼び方にしたがって「パアテルさん」と記述)に面会し、汽船で牛深港へと向かっています。

大江教会
名称 大江教会/おおえきょうかい
所在地 熊本県天草市天草町大江1782
関連HP 天草宝島観光協会公式ホームページ
電車・バスで 本渡バスセンターから天草産交バス富岡港行きで50分、教会下下車、すぐ
ドライブで 富岡港から約27km。鬼池港から約39km。本渡港から約40km
駐車場 5台/無料
問い合わせ 天草宝島観光協会 TEL:0969-22-2243
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
﨑津教会

﨑津教会

天草市河浦町の﨑津地区は、静かな港町であるとともに江戸時代よりキリスト教を信仰厚く守ってきた潜伏キリシタンの町。「天草の﨑津集落」として世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産になっています。その中心的な存在が、背後

上田家庄屋屋敷

上田家庄屋屋敷

熊本県天草市にある高浜焼の元祖・上田家の邸宅が上田家庄屋屋敷。上田家は、大坂城落城後に信濃から天草・高浜に隠棲。万治元年(1658年)から幕末までは庄屋を務めていた名家で、天草陶石を採石し、高浜焼を創始しています(上田陶石合資会社として現在

天草ロザリオ館

天草ロザリオ館

熊本県天草市天草町大江に建つ潜伏キリシタンに関する約500点の貴重な資料を展示する資料館が天草ロザリオ館。里人が密かに祈りを捧げた「隠れ部屋」を祈りの声(オラショ)とともに縮小してリアルに再現し、当時の強い信仰心を知ることができます。潜伏キ

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でニッポン旅マガジンをフォローしよう!

ABOUTこの記事をかいた人。

アバター画像

日本全国を駆け巡るプレスマンユニオン編集部。I did it,and you can tooを合い言葉に、皆さんの代表として取材。ユーザー代表の気持ちと、記者目線での取材成果を、記事中にたっぷりと活かしています。取材先でプレスマンユニオン取材班を見かけたら、ぜひ声をかけてください!

よく読まれている記事

こちらもどうぞ