熊本県天草市船之尾町、本渡城址殉教公園にある潜伏キリシタンの資料館が天草キリシタン館。島原・天草一揆(島原の乱)で使用された武器、天草四郎陣中旗(国の重要文化財、期間限定で公開)、キリシタン弾圧期の踏み絵、隠れキリシタンの生活が偲ばれるマリア観音など、約200点が収蔵展示されています。
島原・天草一揆と天草キリシタン史を学ぶ
前身は、昭和41年8月1日に開館した本渡市立天草切支丹館。
平成の大合併で平成18年3月27日天草市が誕生し、平成22年7月1日、「天草市立天草キリシタン館」としてリニューアルオープンしたもの。
展示テーマの中心は「天草島原の乱を中心とした天草キリシタン史」で、館内では、天草キリシタン史、南蛮文化の伝来と島原・天草一揆、乱後の天草復興とキリシタン信仰というテーマに分けて、島原・天草一揆(島原の乱)、潜伏キリシタンの歴史を解説しています。
1階の多目的室では、「陣中旗が見た天草の歴史」、「ぐるっと天草・宝島をめぐる旅」(ともに12分)を上映。
館内はバリアフリーで車椅子の貸し出しも実施。
天草市内には、旧本渡市の「天草キリシタン館」のほか、旧河浦町に「天草コレジヨ館」、旧天草町に「天草ロザリオ館」の3つの潜伏キリシタン関連の市立博物館があります。
天草四郎陣中旗
「天草四郎陣中旗」は通称で、文化財指定名称は「綸子地著色聖体秘蹟図指物」(りんずじちゃくしょくせいたいひせきずさしもの)。
畳半分ほどもある大きな絹製の指物で、中央にはカリス(聖杯)、その上に十字架を付けたホスチア(聖体)、その両側に合掌礼拝する天使が油絵で描かれています。
作者に関しては、島原・天草一揆(島原の乱)に参加し、原城籠城戦での唯一の生存者といわれる南蛮絵師・山田右衛門作(やまだえもさく)説、有馬セミナリヨ(日野江城下に築かれた日本で初めてのイエズス会初等教育機関)または長崎コレジヨ(長崎にあった聖職者育成のための神学校)などで描かれたなどの説があり、定かでありません。
よく見ると旗の表面に赤い斑点、つまりは戦の血痕や、刀や槍によると推測される裂傷があり、佐賀藩・鍋島大膳が一揆軍から陣中旗を奪い取ったという熾烈な原城攻防戦の歴史を物語っています(初代藩主・鍋島勝茂の年譜『勝茂公譜考補』第9巻に「四郎カ差物白地ニ泥烏子(でうす=ラテン語で神の意)ノ紋」と書き残されているのが「天草四郎陣中旗」と推測され、その後は鍋島大膳の子孫が所有)。
鍋島大膳は、藩主・鍋島勝茂の近習頭にして大物頭で、島原・天草一揆(島原の乱)の際には江戸留守役(つまりは江戸の佐賀藩邸住まい)を務めていましたが、無断で島原に参陣し、手柄を立てています。
現在、「天草四郎陣中旗」は、劣化防止のため年間に30日間のみ展示公開され、他の日はレプリカを展示。
天草キリシタン館 | |
名称 | 天草キリシタン館/あまくさきりしたんかん |
所在地 | 熊本県天草市船之尾町19-52 |
関連HP | 天草キリシタン館公式ホームページ |
ドライブで | 本渡港から約2km |
駐車場 | 8台/無料 |
問い合わせ | 天草キリシタン館 TEL:0969-22-3845/ FAX:0969-22-3845 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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