京都府と福井県・滋賀県に接した由良川の源流部、茅葺き(かやぶき)の里として知られる京都府南丹市美山町北東部にある4179.7haの広大な原生林が、芦生原生林(あしうげんせいりん)。芦生の森とも呼ばれる一帯は京都大学芦生研究林で、入山前には手続きが必要(当日申請可)。
由良川の源流部に残された貴重な原始林
京都大学フィールド科学教育研究センター森林ステーション芦生研究林として管理される原生林で、山中にはツキノワグマ・ニホンカモシカ、ニホンジカ、ニホンザル、イノシシ、タヌキ、キツネ、アナグマ、ノウサギ、イタチ、テンなどの哺乳類をはじめコノハヅク、ヤマセミ、アカショウビン、オオルリ、ウグイス、ヤマセミなどの野鳥が数多く生息。
また、幾年月を経て育ったカツラやトチノキなど、巨木が多いのも特徴。
氷河期の残存と推測されるニッコウキスゲも見つかっていますが、数は少なく絶滅の危機に。
冬期は積雪が数メートルにも及び、12月の中旬から4月の上旬までは雪に閉ざされています。
京都府と福井県、つまりは太平洋型の気候と日本海型気候のせめぎ合う位置にあるから植層も複雑な様相。
標高は350~960mdで海抜の高い場所は、日本海型のブナ林、低い地域はウラジロガシを代表とする常緑広葉樹林、つまりは冷温帯型と暖温帯型が住み分けが行なわれているのです。
入林できるエリアは、林道(ケヤキ坂まで)、ブナノキ峠歩道、森林軌道跡(小ヨモギまで)で、10名未満に限定(事務所または仮入林BOXに申請書を提出して入山)。
1名(単独行)の場合は、入林時と退出時に事務所での受付が必要。
芦生研究林森林軌道は、近代化産業遺産に認定
昭和2年には、森林を保護し、さらに栽培したシイタケの運搬、大学の財産形成としての伐採、木炭の運搬を行なうため、由良川源流沿いに芦生研究林森林軌道も敷設されていますが、廃線になっています。
森林軌道敷設当時は、灰野(昭和41年に廃村)など演習林の中にも幾つかの集落があり、山仕事をする人が暮らしていたので、その生活の足ともなったのです。
かつて秩父に敷設された東京大学演習林軌道(昭和59年廃止)とともに、大学敷設の森林鉄道として貴重な存在で、「山間地の産業振興と生活を支えた森林鉄道の歩みを物語る近代化産業遺産群」として経済産業省の近代化産業遺産にも認定されています。
芦生原生林(京都大学芦生研究林) | |
名称 | 芦生原生林(京都大学芦生研究林)/あしうげんせいりん(きょうとだいがくあしうけんきゅうりん) |
所在地 | 京都府南丹市美山町芦生 |
関連HP | 京都大学フィールド科学教育研究センター公式ホームページ |
電車・バスで | JR日吉駅から南丹市営バスを乗り継いで1時間30分、芦生下車 |
ドライブで | 名神高速道路京都東ICから約60km |
駐車場 | 20台/無料 |
問い合わせ | 森林ステーション 芦生研究林 TEL:0771-77-0321 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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