村上開新堂

村上開新堂

京都府京都市中京区常盤木町、京都市役所の北、寺町通に面して建つ明治40年創業の老舗洋菓子店が、村上開新堂。昭和初期に建てられたレトロな洋館が印象的で、冬場(11月〜3月)には池波正太郎が愛した「好事福盧」(こうずぶくろ)、夏(4月〜9月)には「オレンジゼリーも販売され、人気。

池波正太郎の愛したミカンゼリー「好事福盧」

初代の村上清太郎は、宮内省に務めていましたが、伯父・村上光保(明治7年創業、東京・村上開新堂創業者)の西洋菓子の製造を学んで、明治41年にゆかりの京都に戻り、京の村上開新堂を創業。

クッキー、ロシアケーキなどを手掛けていましたが、大正後期に紀州のみかんをふんだんに使った「好事福盧」を考案、これが池波正太郎の著書『むかしの味』に登場するミカンゼリー。

みかんの果汁とグラニュー糖と風味づけの洋酒をゼラチンで固めたゼリーで、池波正太郎はホテルの窓に袋に入れて吊るし. 冷やしてから味わったとのこと。
池波正太郎が「こころが豊かになる」というミカンゼリーは、池波正太郎ファンならずとも、一度は購入したい洋菓子です。

「この店構えのよさは、まったく、たまらない。立ちつくして見ていて飽きない。つつましやかな、タイル張りの三階家は、大正から昭和初期の、落ちついていた町のたたずまいを偲ばせてくれる。ガラス張りのショー・ウィンドウの腰張りは大理石だ。看板は「村上開新堂舗」と、たったこれだけである。東京にしろ、京都にしろ、古い店は、店先を仰々しく飾ることをしない。で、その店のとなりに瓦屋根の二階家が、ひっそりと寄り添っている。すなわち、開新堂の菓子製造工場なのだ。」(池波正太郎『むかしの味』/新潮文庫)

「私の好きな「好事福盧」という菓子も、この工場で丹念につくられる。開新堂は、京都における洋菓子の草分けだといわれている。「好事福盧」も、そうしたムードがただよっている清楚な洋菓子だ。大きな紀州蜜柑の中身をくりぬいてゼリーにし、別に蜜柑の実をしぼったジュースへキュラソーをそそぎ、ゼラチンでやわらかく固めたものを、また蜜柑の皮へつめこみ、パラフィン紙で包み、蜜柑の葉のレッテルを紐で下げる。古風な明治・大正のころを偲ばせるパッケージングは、いまも変わらぬ。明治末年に、開新堂の初代の店主が考案したときのままなのだ。」(池波正太郎『むかしの味』/新潮文庫)

紀州みかんのない夏場にはサンキストオレンジを使った爽やかな「オレンジゼリー」も販売され、こちらも人気。

村上開新堂
名称 村上開新堂/むらかみかいしんどう
所在地 京都市中京区寺町通二条上ル東側
関連HP 村上開新堂公式ホームページ
電車・バスで 京都市営地下鉄京都市役所前駅から徒歩5分。京阪電車三条駅から徒歩10分
駐車場 周辺の有料駐車場を利用
問い合わせ 村上開新堂 TEL:075-231-1058/FAX:075-252-6707
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

 

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