1928ビル(旧毎日新聞社京都支局)

1928ビル(旧毎日新聞社京都支局)

京都府京都市中京区弁慶石町、三条通と御幸町通の交差点に建つレトロなビルが、1928ビル(旧毎日新聞社京都支局)。昭和3年10月に大阪毎日新聞社京都支局ビル「京都大毎会館」として建築された建物で、設計は山口県庁(国の重要文化財)、京都府立図書館でも知られる武田五一(たけだごいち)。

武田五一設計、アール・デコ調のレトロビル

1928ビル(旧毎日新聞社京都支局)

ビル完成時の当時の大阪毎日新聞社京都支局長は、民藝運動の支援者でもあった岩井武俊(いわいたけとし)で、交流の深かった陶工・河井寛次郎の展覧会を「大毎会館」の杮落しを兼ねて開催しています。
民藝運動を主唱した柳宗悦(やなぎむねよし)もこのビルに集まり、サロン的な使われ方もしていました。

星形の窓は、大阪毎日新聞社の社章(「大」の字を星形に、その中央に「毎」)を象ったもので、全体に昭和初期に流行したアール・デコ様式に統一されています。

戦後、平成10年まで毎日新聞社京都支局として使われましたが、京都支局が上京区に移転したため、2階に「DOHJIDAI GALLERY OF ART 同時代ギャラリー」、3階に小劇場「ART COMPLEX(アートコンプレックス) 」、地下1階にレストランなどが入居しています。


建物は、京都市登録有形文化財に指定、三条通ハウスウォッチング(三条通界わい景観整備地区)の対象のひとつにもなっています。

武田五一は、京都第三高等中学校本科卒業(帝国大学工科大学造家学科入学)、ヨーロッパ留学から帰国後に京都高等工芸学校(現・京都工芸繊維大学)図案科教授、京都府技師に就任したことから京都市内には数多くの設計した建築物が残されています(戦前の金閣寺と平等院鳳凰堂修理工にも携わっています)。

京都市内には、関西美術院(左京区/明治39年築、国の登録有形文化財)、京都府記念図書館(左京区)、同志社女子大学ジェームス館(上京区/大正3年築、国の登録有形文化財)、夢二カフェ五龍閣・旧松風嘉定邸(東山区/大正3年築、国の登録有形文化財)、私立学校共済・白河院旧館(旧下村忠兵衛邸/大正8年築)、京都大学百周年時計台記念館(旧京都帝国大学本館/大正11年)など多数の建築物が現存しています。

1928ビル(旧毎日新聞社京都支局)
名称 1928ビル(旧毎日新聞社京都支局)/1928びる(きゅうまいにちしんぶんしゃきょうとしきょく)
所在地 京都府京都市中京区弁慶石町56
電車・バスで 京都市営地下鉄京都市役所前駅から徒歩3分
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
三条通界わい景観整備地区

三条通界わい景観整備地区

京都府京都市中京区三条通、三条通沿いの寺町通から新町通までの7haが、三条通界わい景観整備地区。三条通は、東海道の西の起点。京都文化博物館別館や中京郵便局、日本生命京都三条ビル旧棟など、明治期以来の近代建築が多く残っていることで知られ、京都

京都府京都文化博物館別館(旧日本銀行京都支店)

京都府京都文化博物館別館(旧日本銀行京都支店)

京都府京都市中京区、京都府京都文化博物館本館の南側に隣接し、三条通に面して建つ京都府京都文化博物館別館は、赤レンガに白の御影石がシックなコントラストを描いた旧日本銀行京都支店。古い家並みが残る「三条通界わい景観整備地区」のシンボル的存在で、

SACRAビル(旧不動貯金銀行京都支店)

SACRAビル(旧不動貯金銀行京都支店)

京都府京都市中京区三条通、明治維新での東京奠都(とうきょうてんと)の後に、近代的建築物が並んだ三条通りにあるのが、SACRAビル(さくらびる)。旧不動貯金銀行京都支店で、大正5年頃の築。昭和63年に改装されテナントビルになっています。国の登

家邊徳時計店

家邊徳時計店

京都府京都市中京区中之町、レトロな建築物が数多く残る三条通沿いにある商家が、家邊徳時計店(やべとくとけいてん)。家邊家住宅店舗(やべけじゅうたくてんぽ)として国の登録有形文化財にも指定される建物は明治23年築のレンガ造り、2階建てで、1階部

中京郵便局

中京郵便局

京都府京都市中京区、三条通沿いにあるレトロな郵便局が中京郵便局(なかぎょうゆうびんきょく)。京都郵便電信局として明治35年に建築されたレンガ造りの郵便局。外見は当時のままのレンガ造りですが、昭和53年に内部は新装し外観だけを保存する、日本初

日本生命京都三条ビル旧棟(旧日本生命京都支店)

日本生命京都三条ビル旧棟(旧日本生命京都支店)

京都府京都市中京区三条通、明治維新での東京奠都(とうきょうてんと)の後に、近代的建築物が並んだ三条通りにあるのが、日本生命京都三条ビル旧棟(旧日本生命京都支店)。明治45年に着工、大正3年に完成した建物で、塔屋を含むスパン部分が現存、国の登

分銅屋

分銅屋

京都府京都市中京区、古い洋館などが建ち並ぶ三条通沿いに建つ、元治元年(1864年)創業の足袋(たび)の老舗が分銅屋(ふんどうや)。クラシックな黒塗り土蔵の店構えは、三条通でもひと際目を引く存在。店名は、足袋以前の漢方薬を扱った時代に、目方を

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でニッポン旅マガジンをフォローしよう!

ABOUTこの記事をかいた人。

アバター画像

日本全国を駆け巡るプレスマンユニオン編集部。I did it,and you can tooを合い言葉に、皆さんの代表として取材。ユーザー代表の気持ちと、記者目線での取材成果を、記事中にたっぷりと活かしています。取材先でプレスマンユニオン取材班を見かけたら、ぜひ声をかけてください!

よく読まれている記事

こちらもどうぞ