三条通界わい景観整備地区

三条通界わい景観整備地区

京都府京都市中京区三条通、三条通沿いの寺町通から新町通までの7haが、三条通界わい景観整備地区。三条通は、東海道の西の起点。京都文化博物館別館や中京郵便局、日本生命京都三条ビル旧棟など、明治期以来の近代建築が多く残っていることで知られ、京都市から「歴史的界隈景観地区」に指定されています。

京都の文明開化を象徴するストリート

延暦13年(794年)、桓武天皇によって遷都された平安京ですが、唐の首都であった長安城の都市計画・条坊制に倣(なら)い、碁盤目状に道路を整備しましたが、三条通りは、その際に大路として建設されたのが始まりの、京のメインストリートのひとつです。

現在の京都の町割りは、豊臣秀吉の都市計画によって改変されたもので、洛中の寺は、平安京の東の果て、東京極大路(ひがしきょうごくおおじ)に集められ寺町が生まれました。
さらに正方形状であった町割りを短冊状に改める天正の地割を行なっています。
その際に三条大橋を恒久橋として橋脚を石造りに変えたことで、三条大橋が京の東側の入口に位置づけられ、東海道の起点としての役割を担ったのです。

江戸時代には、京の中で最も往来があり、物流の拠点となっていたのが三条通りで、文化も集積していきました。
三条通り界隈に江戸時代以前の建物がないのは、元治元年(1864年)、禁門の変で「どんどん焼け」と呼ばれる火災が発生して、市中の建物の大部分が焼失したから。

明治4年の東京奠都(とうきょうてんと=首都機能、皇居の東京移転)で、京都の人口は35万人から24万人(明治6年)に減少、初代市長・内貴甚三郎と2代目の西郷菊次郎は、上水道建設などの近代化を推進しました。
三条通は文明開化の象徴するメインストリートとして近代建築物が並ぶ通りに変身し、日本銀行京都支店(明治39年築、辰野金吾設計/現・京都府京都文化博物館別館)、京都郵便電信局(明治35年築/現・中京郵便局、内部は新装し外観だけを保存する、日本初の「ファサード保存」で改築)などの西洋建築が建ち並びました。

寺院建築のイメージが強い京都にあって、この三条通だけはレンガ建築、国の登録有形文化財の建物が並ぶ「明治村」、「大正村」の風情を醸しているのです。
昭和60年に京都市は、三条通歴史的界わい景観地区(現・三条通界わい景観整備地区)に指定。
三条通り沿いの7つの町内会で形成する「京の三条まちづくり協議会」も発足し、町並み、美しい景観の保全に尽力しています。

ちなみに、京都市内で「歴史的界隈景観地区」に指定されるのは、三条通界わい景観整備地区のほか、上賀茂郷界わい景観整備地区(上賀茂神社 に仕える神官の住居など)、上京北野界わい景観整備地区(茶屋が連なる町並みなど)、千両ヶ辻界わい景観整備地区(西陣)、西京樫原界わい景観整備地区(山陰街道の京に最も近い宿場町)、伏見南浜界わい景観整備地区の6ヶ所です。

三条通界わい景観整備地区にあるレトロ建築

現在の施設名旧名文化財指定所在地
京都文化博物館別館日本銀行京都支店国の重要文化財中京区三条通東洞院東入
菱屋町48
中京郵便局京都郵便電信局京都市の有形文化財中京区三条通東洞院東入
菱屋町30
SACRAビル
(さくらびる)
不動貯金銀行京都支店国の登録有形文化財中京区三条通富小路西入
中之町20
家邊徳時計店家邊家住宅国の登録有形文化財中京区三条通富小路東入
中之町27
1928ビル京都大毎会館
(毎日新聞社京都支局)
京都市の有形文化財中京区三条通御幸町東入
弁慶石町56
日本生命
京都三条ビル旧棟
日本生命京都支店国の登録有形文化財中京区三条通高倉東入
桝屋町75
三条通界わい景観整備地区
名称 三条通界わい景観整備地区/さんじょうどおりかいわいけいかんせいびちく
所在地 京都府京都市中京区三条通
関連HP 京都市公式ホームページ
電車・バスで 京都市営地下鉄烏丸御池駅から徒歩3分
駐車場 周辺の有料駐車場を利用
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
京都府京都文化博物館別館(旧日本銀行京都支店)

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中京郵便局

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1928ビル(旧毎日新聞社京都支局)

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