関東周辺には、江戸城などにも使われた伊豆石、古墳の石室にも活用された房総石、旧帝国ホテル本館に採用された大谷石、東京湾要塞の海堡に使われた鷹取山の石など数多くの採石場があり、その跡地は天空の城ラピュタを思わせる鋸山、ダンジョンの室岩洞と、冒険心を駆り立てる場所になっています。
大谷資料館|栃木県宇都宮市
所在地:栃木県宇都宮市大谷町909
規模・内容:深さ30m、2万平方メートル(140m×150m)の広さを持つ大谷石の地下採掘場跡(カネイリヤマ採石場は大正8年〜昭和61年まで採石)
備考:日本遺産「地下迷宮の秘密を探る旅 大谷石文化が息づくまち宇都宮」の「地下迷宮」とは、もちろん、この大谷資料館(カネイリヤマ採石場跡地)のこと
平均気温が8度という異空間
藪塚石切場跡|群馬県太田市
所在地:群馬県太田市藪塚町3426-5
規模・内容:旧藪塚本町にあった採石場の跡が、「古代遺跡」や「石の神殿」を連想される異色の空間に
東武桐生線の前身となる藪塚石材軌道は、藪塚石の搬出を主目的に敷設された鉄道
備考:平成20年公開の映画『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』(監督・樋口真嗣、主演・松本潤)や戦隊モノのロケ地
石切場は木道が腐っているため、危険防止のため立入禁止、立入禁止エリア手前までは徒歩で進入が可能
富岡製糸場土台石採掘場所跡(石舞台)|群馬県甘楽町
所在地:群馬県甘楽郡甘楽町小幡1929-1
規模・内容:明治5年に創業を開始した富岡製糸工場の土台などに使われる石材を切り出した石切り場の跡で、連石山(れんせきざん)の東側、南北方向に上下2段で採掘され、石舞台と通称される奇観になっています
備考:連石山トレイルコース利用で手軽に到達ができます
石切山脈|茨城県笠間市
所在地:茨城県笠間市稲田4260-1
規模・内容:株式会社想石が窓口となり、明治32年創業、国会議事堂、日本橋などへ供給した実績を有する老舗、中野組石材工業の稲田石採石場跡を見学可能(事前予約が必要)
備考:明治33年頃から本格的な採石が始まり、65mの深さまで採掘したため、平成26年に採掘を止めた場所を見学
採石場跡の巨大な凹みは深さ35mの「地図にない湖」(国土地理院の地形図にはまだ水部が表示されていません)になっています
鋸山|千葉県富津市
所在地:千葉県富津市金谷
規模・内容:凝灰岩からなる鋸山(標高329.1m)の大半が、日本寺の霊域ですが、富津市側には、房州石のひとつである金谷石の採石跡があり、車力(しゃりき)と呼ばれる人が石を専用の木製荷車に載せて、金谷石が敷かれた道(車力道)で浜金谷の港へと下った車力道もハイキングコースとして残されています
採石場跡の岩壁に観音像が彫られた百尺観音のある場所が北谷下山口で、日本寺北口管理所
備考:鋸山山中から運び出された石(凝灰質砂岩)は、内房線開通以前には船で運ばれ、江戸・東京の町造りや、開港当初の横浜港の護岸工事などに活用されました
鋸山には百尺観音、地獄のぞきなど、石切り場跡を活かした奇観、絶景が豊富です
鷹取山|神奈川県横須賀市・逗子市
所在地:神奈川県横須賀市湘南鷹取・逗子市池子
規模・内容:神奈川県横須賀市と逗子市の間にそびえる標高139mの岩峰が、鷹取山(たかとりやま)で、「湘南妙義」の異名のある山
山頂一帯は鷹取山公園として整備されていますが、明治・大正時代に東京湾要塞の海堡に使われる石(鷹取石)を切り出した石切り場の跡もあります
備考:岩壁には巨大な磨崖仏が刻まれていて圧巻
尾根沿いに逗子市側の神武寺へと歩くハイキングコースは、ファミリーにもおすすめ
室岩洞|静岡県松崎町
所在地:静岡県賀茂郡松崎町道部
規模・内容:江戸時代には江戸城の石垣を築くために、そして幕末には品川台場構築用に切り出されたという歴史ある石切り場の跡
採石は江戸時代〜昭和29年頃まで行なわれ、昭和57年4月10日に照明設備を完備し、広さ約2000平方メートルの洞内を観光用に公開
備考:洞窟内は片道180mほどの遊歩道が設けられていますが迷路のように複雑で、天井は低いところだと1.5m
水が溜まった地底湖もあり、出口をはうように抜け出すと、海岸の絶壁の上に位置する展望台が!
天空の城ラピュタか!ダンジョンか!? 関東の石切り場跡7選 | |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
最新情報をお届けします
Twitter でニッポン旅マガジンをフォローしよう!
Follow @tabi_mag