藪塚石切場跡

藪塚石切場跡

群馬県太田市藪塚町、旧藪塚本町にあった採石場の跡が、藪塚石切場跡(やぶづかいしきりばあと)。「古代遺跡」や「石の神殿」を連想される異色の空間のため、平成20年公開の映画『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』(監督・樋口真嗣、主演・松本潤)や戦隊モノのロケ地にもなっています。

昭和30年まで藪塚石を切り出した石切り場の跡

藪塚石と呼ばれる凝灰岩の建築用石材を採掘する採石場で、日露戦争(明治37年〜明治38年)頃に企業化して、明治42年7月、藪塚石材軌道が設立されて搬出用の鉄道である藪塚石材軌道が明治44年5月、太田〜藪塚間に開業。
藪塚石材軌道を敷設し社長に就任した葉住利蔵(はすみりぞう)は、明治31年、新田銀行(現・群馬銀行)を設立して頭取となり、明治41年には利根発電を設立して社長に就任し、電灯を太田に灯すなど、明治大正期の太田を代表する経済人。
立憲政友会の衆議院議員として2期6年間務めていますが、大正15年に惜しまれながらも病没(急性脳溢血、60歳)。

藪塚石材軌道は、岩船山産出の石材を搬出した岩舟人車鉄道、豆相人車鉄道(小田原〜熱海)、庁南茂原間人車軌道(茂原〜奥野)などと同様に人が客車や貨車を押す人車軌道で、明治44年10月には太田軽便鉄道と改称、馬車鉄道として利用された後、大正2年からは東武桐生線になっています。

東武が買収し、東武桐生線となった大正時代が、藪塚石の最盛期で(最盛期には石切職人など1000人〜2000人が暮らしていました)、昭和30年頃に閉山となっています。
軽石凝灰岩なので、軟らかく、加工がしやすいため、価格も安く、建築物の土台、塀、熱に強いため竈(かまど)などにも利用されました。
水に弱いという欠点があり、なかに小石が混じること、層に割れ目が多いことから、同質の大谷石(おおやいし)に比べて、加工する人件費がかかるため、閉山を余儀なくされました。

石切場は木道が腐っているため、危険防止のため立入禁止。
立入禁止エリア手前までは徒歩で進入が可能です。

藪塚石切場跡
名称 藪塚石切場跡/やぶづかいしきりばあと
所在地 群馬県太田市藪塚町3426-5
電車・バスで 東武鉄道藪塚駅から徒歩25分
ドライブで 北関東自動車道太田藪塚ICから約5km
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

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