伊勢を流れる勢田川(せたがわ)河口に位置する河崎(かわさき)の街は、船で豊富な物資が集まり「伊勢の台所」といわれた場所。伊勢神宮参拝に集まる人々に供する食材などを河崎で荷揚げし、蔵に保管していたのです。そんな河崎に建つ「伊勢河崎商人館」の建物も、江戸中期の創業で平成11年まで営業を続けた老舗「旧小川酒造店」を再生。
NPO法人伊勢河崎まちづくり衆が管理運営する施設
江戸時代、伊勢神宮をめざす人々の「おかげ参り」の隆盛で、東西の物流の拠点となったのが河崎の町。
脇を流れる勢田川に船が上り、物資を河崎に下ろしたのです。
江戸時代に、ブームが3回も起こり、年間、何百万人が伊勢をめざしたという「おかげ参り」。
これには、大坂と江戸の間、尾張にも近い伊勢という地理的要因を抜きには語れません。
江戸時代、庶民たちは、案外、物見遊山的な気持ちで伊勢へと旅立ちました。
江戸、名古屋、大坂から発達した街道や海路を使って、伊勢参りの隆盛は、参拝が便利だったという地理的な要因が大きかったのです。
最盛期には1日に何万という旅人が集まったのですから、必要となった物資も、食材を含めて膨大なものとなったのです。
そんな歴史を背景に「伊勢の台所」と呼ばれた河崎の繁栄を今に伝えるのが伊勢河崎商人館。
江戸時代創業の酒問屋「小川商店」の江戸、明治期の蔵や商家が保存公開されています。
天保6年(1835年)築の母屋は通り土間のある河崎を代表する商家の間取りの建物で、内蔵資料館には伊勢の学芸の資料とそれを支えた商業の道具と記録が展示されています。
明治5年築の土蔵には日本最古の紙幣である山田羽書をはじめ伊勢と河崎の歴史と文化の資料が常設展示されるほか、企画展も実施されています。
壱の蔵、弐の蔵、参の蔵の商人蔵には約20の小さなショップやカフェが営業。
壱の蔵には伊勢の伝統工芸品「伊勢春慶」が揃う「伊勢春慶や」や商人蔵カフェなど、弐の蔵には雑貨やアンティーク、ギャラリーなど、参の蔵には手芸品、陶器、古道具店など、各店とも個性豊かな品が揃っています。
「江戸時代、江戸は金本位制でしたが、大坂は丁銀が流通の中心貨幣。伊勢では両方使えたんです」
こう解説するのは「伊勢河崎商人館」の西城利夫さん。
慶長15年(1610年)頃、日本最初の紙幣といわれる山田羽書が生まれたのも伊勢だったのです。
伊勢河崎商人館では、明治42年に生まれ、昭和50年まで小川酒店が販売した「エスサーダー」も復刻されて人気です。
ラベル、瓶も発売当時のデザインというこだわりです。
伊勢河崎商人館 | |
名称 | 伊勢河崎商人館/いせかわさきしょうにんかん |
所在地 | 三重県伊勢市河崎2-25-32 |
関連HP | 伊勢河崎商人館公式ホームページ |
電車・バスで | JR・近鉄伊勢市駅から徒歩15分 |
ドライブで | 伊勢自動車道伊勢ICから約4km |
駐車場 | 30台/無料 |
問い合わせ | NPO法人伊勢河崎まちづくり衆(伊勢河崎商人館) TEL:0596-22-4810/FAX:0596-22-4810 |
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
取材協力/伊勢河崎商人館
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