(1)で桃太郎の主人公は、吉備津彦命(きびつひこのみこと)、(2)でヤマト王権の吉備国平定にまつわる歴史的な背景を紹介しました。今回は最終編で、なぜ桃が重要なアイテムとして登場し、従者が犬、猿、雉だったのかを紹介します。そこには大きな理由が隠されていたのです。
桃から生まれた、桃太郎にも大きな意味が!

では、なぜ桃が関係してくるのでしょう。
まずは温暖な気候風土の岡山では古くから桃の栽培が盛んだったこと。
そしてその桃は、古代から魔除けに使われてきたから。
古代中国でも桃には邪気を払う効果があるとされ、「仙果」として神聖視されていたのです。
普段、気にもとめませんが、雛人形の横に桃の花が咲いているのは、旧暦で桃の開花期だからではなく、あくまで魔除けを期待してのこと。
桃の持つパワフルな「破魔の力」で災厄を薙(な)ぎ倒すという期待が込められていたのです。
「仙果」としての桃から桃太郎が誕生し、鬼を倒すというのは実に自然なストーリー展開で、その「仙果」の産地が、ドンピシャリで岡山だったということに。
吉備団子については、もともとは黍(きび)を使った黍団子で、それが転じて岡山土産の代表・吉備団子となったもの。
ただし、室町時代、設立当初の『桃太郎』には吉備団子は登場せず、江戸時代にも「十団子」(紐や串でつなげた団子)だったりするので、後世の後付の可能性が大。
近代以降に岡山名物と結びついて定説と化したというわけです。
家来の筆頭の犬は、吉備津彦命の家来とされる犬飼部(いぬかひべ)・犬飼健命(いぬかいたけるのみこと)。
何やらこじつけのような気もしますが、「五・一五事件」で暗殺された犬養毅(いぬかいつよし)は、その末裔(まつえい)なんだとか。
実際に犬養毅は、現在の岡山市の出身です。
犬飼部(犬養部)は、部民制を採用したヤマト王権時代(大化の改新)の職業部のひとつ。
土師器(はじき)、須恵器(すえき)を製造する土師部(はじべ)・須恵部(すえべ)、弓の製造管理を担った弓削部(ゆげべ)などと同様に犬を飼育する専門職が存在したのです。
ヤマト王権時代、犬は狩猟、番犬として活躍し王権維持にも欠かせない動物だったことがわかります。
犬、猿、雉(キジ)でなければいけない理由は、陰陽道における裏鬼門(鬼が出入りする方角=南西)の守護とされることから。
陰陽道においては、北と西は陰、東と南は陽され、その間の方角は、不安定となるので忌み嫌われたという背景があります。
干支の方位神(ほういじん)で、戌(犬)=西北西、申(猿)=西南西、酉(キジ)=西で説明が付きます。
まさに鬼封じ(鬼門封じ)にとっては大切な3種だったのです。
こうして読み解くと、岡山県で発祥の鬼退治、桃が重要な鬼封じの要素で、さらにお供は犬、猿、雉で吉備団子を手にしてというストーリーには納得がいくはず。
『桃太郎』と岡山の密なる関係を読み解いたところで、岡山にぜひ出かけてみましょう。
画像協力/(公社)岡山県観光連盟

| 桃太郎は、なぜ桃から生まれ、岡山県なのか!? (3)桃、犬、猿、雉にも大きな理由が! | |
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