毎年、8月2日〜8月3日に行なわれる『長岡まつり大花火大会』。日本三大花火大会にも数えられていますが、今年は開催日が土日に当たるため、例年以上の混雑が予想されます。7月上旬にすべての有料席の発売は終了しているのですが、「どこかで見れるだろう」とやって来る人もいて、地元では頭を悩ませています。
「慰霊」、「復興」、「平和への祈り」の想いが込められた花火大会
新型コロナウイルス禍での中断を経ての開催となった2022年には、コロナの密対策や雑踏事故対策として全席有料化に踏み切っています。
コロナウイルス禍以降で初の週末開催となった昨年、主催する長岡花火財団は観覧席を各日6500席増やし、両日を合わせて34万席を用意しましたが、完売。
長岡市の人口は、2025年6月1日時点で、25万3573人。
人口を10万人も上回る見物客が、わずか2日間に集中することから、オーバーツーリズム、マナー違反など様々な問題が起こっています。
長岡花火財団は今年、「みんなで守る長岡花火」「年に一度のこの時を、楽しみにしている人がいる」がヘッドコピーの不思議なポスターを制作、しかも地元ではなく、首都圏のJR電車内や駅にも広告を出したのです。
その費用は1000万円以上。
違法な路上駐車(おもに県外ナンバー)、放置されるゴミ、酔客の立ち小便などの苦情が地元には多く寄せられていますが、近年、問題化しているのがチケットの転売。
転売を防ぐためにチケットを今年初めて記名式にしたのですが、それでも転売される例があるのだとか。
地元の人や、長岡花火財団としては「無理して来ないで」というのがホンネ。
それもあって、遠回しの「みんなで守る長岡花火」「年に一度のこの時を、楽しみにしている人がいる」というコピーを使って、首都圏に告知したのです。
もともと『長岡まつり大花火大会』は、昭和20年8月1日の長岡空襲の慰霊のために始まったもの。
20:30にやってきたおびただしい数のB29は、1時間40分もの間にわたって市街地を爆撃、市街地の8割を焼け野原にし、1488名の尊い命が失われたのです。
空襲から1年後の昭和21年8月1日に開催されたのが、『長岡まつり』の前身である『長岡復興祭』。
昭和22年に復活した花火大会は「慰霊」、「復興」、「平和への祈り」の想いが込められているので、その想いを無視して、単にお祭り気分で楽しむのもまずいということにもなるのです。
そんな想いがわかったなら、来年は早めに有料席を確保して、堂々と見に行きましょう。

『長岡まつり大花火大会』、有料席は完売、無料席はナシ、つまりは「無理して来ないで」 | |
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