室町時代初期に活躍した猿楽師・世阿弥(ぜあみ)。父の観阿弥とともに猿楽(現在の能)を大成していますが、足利義教と不仲になり、永享6年(1434年)、72歳の時に佐渡に流されています。その世阿弥が配所された寺とされるのが佐渡の曹洞宗の寺、正法寺(しょうぼうじ)。境内には世阿弥腰掛石などが残されています。
佐渡に流された世阿弥が暮らしたとされる場所がここ
享保6年(1721年)築の本堂、1700年代前半建築と推測される観音堂、宝永元年(1704年)築の護国蔵、享和2年(1802年)築の蔵、文政3年(1820年)築の鐘楼、江戸後期建築と推測される山門は、国の登録有形文化財になっています。
寺宝の「神事面べしみ(雨乞いの面)」は、厳しい干ばつの年に世阿弥がこの面を着けて舞ったところ大雨を呼んだという伝承がある面で新潟県の文化財。
全体に黒漆が塗ってあり、その上から群青色(ぐんじょういろ)、黒目のふちと眉間、唇の境には朱、白眼の部分には金泥が塗られた鬼面(下顎の一部が欠損)は、鎌倉後期の製作と推定され、能面が定型化する以前の貴重な面となっています。
6月にロウソクの明かりによる『正法寺ろうそく能』が行なわれ、特別講演や世阿弥が使用したと伝えられる「神事面べしみ(雨乞いの面)」の一般公開も実施されています。
ちなみに世阿弥の佐渡での生活の記録は、娘婿の金春禅竹(こんぱるぜんちく=室町時代中期の能役者・能作者、佐渡に流された晩年の世阿弥を心にかけ、様々な援助を行なっています)に宛てた書状、配流地での境涯を綴った小謡(こうたい)集『金島書(きんとうしょ)』が残るのみで、定かでありません。
都に帰ることができたとされていますが(佐渡で没した可能性もあります)、足取りに関してもわかっていません。
正法寺 | |
名称 | 正法寺/しょうぼうじ |
所在地 | 新潟県佐渡市泉甲504 |
関連HP | 佐渡市公式観光情報サイト |
電車・バスで | 両津港から新潟交通佐渡バス本線で30分、泉下車、徒歩3分 |
ドライブで | 両津港(佐渡汽船旅客ターミナル)から約13km |
駐車場 | 10台/無料 |
問い合わせ | 正法寺 TEL:0259-63-2032 |
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