渡邉邸

渡邉邸

新潟県岩船郡関川村下関にある豪商・豪農の家が渡邉邸(わたなべてい)。新発田(しばた)と出羽国・米沢(よねざわ/現・山形県米沢市)を結ぶ米沢街道(越後街道)の宿場町、越後下関(えちごしもせき)。荒川舟運の拠点としても栄えた地で、渡邉家は廻船業、酒造業を営んだ豪商です。

荒川舟運で栄えた豪商、豪農の家


初代・渡邉儀右衛門は村上藩主・松平直矩(まつだいらなおのり)の家臣で郡奉行だったと伝えられ、寛文7年(1667年)、松平直矩の姫路転封で、家督を嗣子に譲って桂村に隠居、下関に居を構えています。
2代・渡邉三左エ門の時代、延宝4年(1676年)から酒造業を始め、荒川舟運を使って酒や小作人から集まる米(1万俵にもなったとか)を各地に販売し財を成したのです。

3代・渡邉三左エ門善久は、享保5年(1720年)、財政難に苦しむ米沢藩(上杉家は上杉景勝時代には越後の領主で、会津移封で関川は村上藩に)に融資を行ない、幕末まで総額10万両以上を用立てています。
「今なら100億から150億円です」(重要文化財渡辺家保存会)とのこと。

その相手には有名な米沢藩9代藩主・上杉鷹山(うえすぎようざん) もいて、上杉鷹山からお礼にと手遊びの弾弓を賜っています。
その功績で、米沢藩の勘定奉行格の待遇を受けた名家なのです。

豪農でもあった全盛期には75人の使用人を使い、1000町歩(1000ha)の山林を経営、700町歩(700ha)の田から1万俵の米を収穫していました。
大正7年には米坂線の誘致に尽力し、終戦直後には関谷村長、さらに関川村長を務めています。

「にいがた庭園街道」の構成資産に

渡邉邸

現存する江戸時代後期、文化14年(1817年)再建の母屋は国の重要文化財。
米蔵、味噌蔵、金蔵宝蔵、新土蔵、裏土蔵の土蔵群も現存し、その多くが国の重要文化財になっています。

平成21年3月から6年もの歳月をかけた「平成の大修理」が行なわれ、江戸時代を偲ばせる往時の姿に蘇っています。
桁行35.1m、梁間17.8m、建坪500坪という壮大な母屋は、1階と2階を合わせて40部屋(便所7ヶ所、浴室4ヶ所)があり、最盛期には75人の使用人を使っていたのだとか。
屋根は木羽葺き(こばぶき)で、1万5000個の石が置かれています。

母屋の大部分が公開され、見学が可能。
庭園に臨む座敷は、茶房として営業、抹茶、コーヒーで一息つくことができます。

4代・三左エ門善永が江戸時代中期、京から遠州流庭師を招いて作庭した廻遊式庭園は、国の名勝に。
庭園で使われる石は小豆島など西国から北前船で運ばれたもの。
渡邉邸は、「にいがた庭園街道」の構成資産にもなっています。

平成7年、NHK金曜時代劇『藏』のロケ地になり、全国的にその名が知られるようになりました。

関川村には米沢街道沿いに渡邉邸(国の重要文化財)をはじめ、津野邸(新潟県の文化財)、佐藤邸(国の重要文化財)、東桂苑(渡邉家の分家だった家、関川村の管理)があり、「18世紀の街並みエリア」と呼んでPRしています。

渡邉邸
名称 渡邉邸/わたなべてい
所在地 新潟県岩船郡関川村下関904
関連HP 渡邉邸公式ホームページ
電車・バスで JR越後下関駅から徒歩6分
ドライブで 日本海東北自動車道荒川胎内ICから約15km
駐車場 関川村役場駐車場(100台/無料)を利用
問い合わせ 渡邉邸 TEL:0254-64-1002/FAX:0254-64-1002
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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