高島城

慶長3年(1598年)、豊臣秀吉の家臣・日根野高吉(ひねのたかよし)が築城した諏訪藩(高島藩)藩庁が高島城。諏訪湖を巧みに生かし、難攻不落を誇った水城で、「諏訪の浮城」と呼ばれました。日本三大湖城の一つに数えられましたが、江戸時代の諏訪湖の干拓で往時の面影はありません。現在は高島公園として整備されています。続日本100名城に選定。

「諏訪の浮城」と呼ばれた諏訪湖に浮かんだ名城

高島城
内堀と桜満開の本丸跡
高島城
初夏の高島城復元天守

宍道湖北側湖畔の亀田山に築かれた松江城、琵琶湖に浮かぶ大津の膳所城(ぜぜじょう=「琵琶湖の浮城」)、諏訪湖の高島城(「諏訪の浮城」)の3つが「日本三大湖城」。

近世的な城郭である高島城が築城されるまでは、高島城の北方に位置する茶臼山に茶臼山城が築かれ、諏訪氏の居城となっていましたが、諏訪氏の滅亡後は武田四天王の一人・板垣信方(いたがきのぶかた)が諏訪郡代として上原城(現・茅野市)に城を構えていました。

天正18年(1590年)の小田原征伐で山中城を攻略した功で、日根野高吉は諏訪湖畔に高島城を築いて信濃諏訪藩(高島藩)を立藩しています。

織田信長、豊臣秀吉の家臣として城の普請にも加わった経験を活かして天守を建てる近世的な城を築いています。
江之渡郭、二之丸、三之丸、本丸が一直線に並ぶ連郭式平城の形態で、関ヶ原の合戦後、日根野氏は下野国壬生藩に転封となり、関が原の戦いの功績で旧領に復帰した諏訪頼水(すわよりみず)の居城となりました。

以降、明治維新まで譜代大名・諏訪氏の治世が続いています。

本丸のみ公園となり、天守、本丸隅櫓、冠木門を復元

高島城
復元された冠木門から本丸へ
高島城
本丸隅櫓も復元されたもの

明治4年の廃藩置県で高島県となり、県庁舎として利用されましたが、明治8年に3層の天守など城内の建築物は破却されています。

現存するのは本丸堀と石垣のみとなっています。
現在の天守は昭和45年の復元で、1階は「企画展示コーナー」、「情報コーナー」、2階は「築城」、「藩主」「藩士」、「藩政」のテーマで諏訪藩を紹介するミュージアム、3階は諏訪平一望の展望台に。

高島公園内に残る御川渡門跡(三之丸御殿裏門=高島1-8から移築)は、かつては藩主や藩士の乗船場所(諏訪湖の舟運を利用)。
石集配湯枡は、三の丸浴場に配湯をした石枡です(温泉豊富な上諏訪だけに、高島城は城内に温泉施設のあった珍しい城)。
復元された高島城隅櫓では5月第4日曜の『高島城祭』などに茶会を開催しています(10:00〜14:00)。

高島公園にはソメイヨシノを中心にシダレザクラ、ヒガンザクラ、ヤエザクラなど90本が植栽され、開花期間中(見頃は例年4月中旬)には花見提灯の点灯やライトアップも実施されます。
明治9年、本丸跡が高島公園として、一般開放された際に植えられたというフジも有名(見頃は例年5月中旬~下旬)。

また、城下にある温泉寺と浄光寺山門はかつての高島城の城門というので、時間があれば寄り道を。

高島城
高島城
高島城

古地図に見る 高島城

高島城
高島城の古地図。左側が北になります

往時には周囲が諏訪湖や沼地だったことがわかります。その後、太平の世になって干拓が進み、現在では市街地になっています。
現在の上諏訪駅側が大手で、二の丸、三の丸が続いていました。
天守下まで諏訪湖が迫っている点に注目を。

浮世絵に見る 高島城

溪斎英泉『木曽街道 塩尻峠諏訪ノ湖水眺望』
溪斎英泉『木曽街道 塩尻峠諏訪ノ湖水眺望』

歌川広重の東海道五十三次シリーズの成功の後、同じ版元の竹内孫八が企画した溪斎英泉の木曽街道シリーズ(刊行途中から歌川広重が引き継ぎます)。

諏訪盆地と松本盆地を隔てる塩尻峠(現・塩尻市と岡谷市の境)から、諏訪湖に浮かぶ高島城、八ヶ岳、そして遠くに富士山を眺望する図。
天保6年(1835年)頃の刊行です。

葛飾北斎『冨嶽三十六景 信州諏訪湖』
葛飾北斎『冨嶽三十六景 信州諏訪湖』

遠近法を巧みに取り入れた北斎の画。
やはり高島城と富士山の組み合わせです。
手前は浜中島弁財天で、天竜川の注ぎ口の弁天島にありましたが、明治元年の灌漑工事で削りとられて今はありません。

高島城
名称 高島城/たかしまじょう
所在地 長野県諏訪市高島
関連HP 諏訪市観光協会公式ホームページ
電車・バスで JR上諏訪駅から徒歩10分
ドライブで 中央自動車道諏訪ICから約6km
駐車場 15台/無料
問い合わせ 高島城 TEL:0266-53-1173
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

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