長崎県長崎市飽の浦町の三菱長崎造船所内にある明治42年の巨大なクレーンがジャイアント・カンチレバークレーン(アップルビー社製のハンマーヘッドクレーン、国の登録有形文化財)。第三船渠、占勝閣とともに世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」の構成資産になっていますが、いずれも非公開。
日本最初のハンマーヘッドクレーンは世界遺産に!
イギリス製(スコットランド製)のジャイアント・カンチレバークレーン(ハンマーヘッドクレーン=定置式電機起重機/製作:Applebys)は、国内には同時期(明治末〜大正初期)に5基輸入されていますが、明治42年、最初に輸入されたのが、三菱合資会社(現・三菱長崎造船所)。
スコットランドが国外に輸出した最初の例で、稼働する世界最古のジャイアント・カンチレバークレーンになっています。
イギリスのマザーウエル社(Motherwell)が仮組し、解体された上で輸送され、ガードナー・ロジャー技師(Gardner Roger)が派遣されて再度組み立ています。
設置当時の三菱合資会社長崎造船所は、東洋最大の民間造船所で、明治41年4月22日には貨客船「天洋丸」を竣工しています。
当初は飽の浦(あくのうら)岸壁にありましたが、昭和36年、周辺の埋め立てによる拡張工事で、水の浦岸壁に再設置されています。
三菱長崎造船所のほかには、呉海軍工廠、佐世保海軍工廠、横須賀海軍工廠、横浜港に設置され、長崎、佐世保(佐世保重工業佐世保造船所)、横浜(ハンマーヘッドクレーン=新港ふ頭)の3基が現存。
三菱長崎造船所ジャイアント・カンチレバークレーンは今も現役で、三菱重工業株式会社長崎造船所内の機械工場で作られた蒸気タービンや、大型船舶用プロペラといった製品、機材を船に積み込む役目を担っています。
高さ61.7m(機械室上部まで)、アーム部分の長さ75m、150tの吊り上げ能力を有するという巨大なクレーンは、陸からの見学は安全上できないため、長崎港めぐり・軍艦島クルーズの船上から遠望することになります(グラバー園からも望遠鏡で視認可能)。
旧木型場(三菱重工業長崎造船所「史料館」)行のシャトルバスからなら間近に眺めることができます(三菱重工業長崎造船所「史料館」は、完全予約制です。当日予約OK)。
三菱長崎造船所ジャイアント・カンチレバークレーン | |
名称 | 三菱長崎造船所ジャイアント・カンチレバークレーン/みつびしながさきぞうせんじょじゃいあんと・かんちればーくれーん |
所在地 | 長崎県長崎市飽の浦町1-1 |
関連HP | 長崎造船所 史料館公式ホームページ |
問い合わせ | 長崎造船所史料館 TEL:095-828-4134/やまさ海運 TEL:095-822-5002(軍艦島クルーズ・長崎港めぐり) |
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