大分県別府市上田の湯町、昭和3年3月28日完成のレトロな建物が、別府市公会堂。設計は、旧別府市電報電話局(児童館)の設計も手がけた逓信省の技師・吉田鉄郎。ストックホルム市庁舎(ラグナル・エストベリ設計)がモデルという館内には、ステンドグラスや当時のままの椅子なども残されています。
正面階段やホールのホワイエなどを当初のデザインに復原
設計に携わった逓信省の技師・吉田鉄郎は、当時の逓信建築の中心的存在で、後に東京・大阪の中央郵便局の設計も担当。
別府市内では別府郵便電話局電話分室(国の登録有形文化財)が現存しています。
5連のアーチや円窓、バルコニーなど、装飾というより壁面の構造などで変化をもたせた外観は、近代建築の端正な美を感じさせてくれます。
オープン時の大分新聞・昭和3年3月29日付(現在の大分合同新聞)では「現代復興色を表徴した建物は、外観、設備とも関西一と称されている」、「建築様式は鉄筋コンクリート二階建て(地下室あり)ドイツ近代式に温泉情緒を加味したもので外郭はスクラッチタイルをもって構築され内部装飾等も現代文化の粋を集めた美麗な一大殿堂である」と詳細に解説しています。
別府市公会堂が完成した直後の昭和3年4月1日〜5月20日には博覧会ブームを背景に別府市の市制施行5周年を記念して『中外産業博覧会』(ちゅうがいさんぎょうはくらんかい)が開催されていますが(当時の別府公園がメイン会場、浜脇公園が第2会場、亀の井自動車による地獄めぐり遊覧バスはこの博覧会を契機に昭和3年1月に運行開始)、実は別府市公会堂、浜脇高等温泉(昭和3年6月竣工、昭和63年取り壊し)も、この博覧会開催に合わせて建築された建物です(別府市公会堂では、地下食堂で宴会も)。
建設当初は現存する大ホールのほかに、ゆったりとしたロビー、地下大食堂、2階小食堂、貴賓室、ビリヤード室、温泉まで備わり、複合娯楽施設として大いに賑わいました。
長らく別府市中央公民館、別府市中央公民館という名称で使われていましたが、平成26年に改修工事行なわれ(正面階段やホールのホワイエなどを当初のデザインに復原)、平成28年4月に別府市公会堂という旧称にに戻されています(別府市公会堂1階には別府市中央公民館、2・3階には別府市市民会館が引き続き入居)。
別府市公会堂 | |
名称 | 別府市公会堂/べっぷしこうかいどう |
所在地 | 大分県別府市上田の湯町6-37 |
関連HP | 別府市公式ホームページ |
電車・バスで | JR別府駅から徒歩7分 |
ドライブで | 東九州自動車道別府ICから約5.8km |
駐車場 | 90台/無料 |
問い合わせ | 別府市公会堂 TEL:0977-22-4118/FAX:0977-23-9416 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
最新情報をお届けします
Twitter でニッポン旅マガジンをフォローしよう!
Follow @tabi_mag