大分県竹田市直入町、久住山の山麓、芹川(せりかわ)沿いに湧く温泉。日本一の炭酸泉といわれ、全国屈指という高濃度の炭酸泉が湧出しています。共同露天風呂「ガニ湯」、「ラムネ温泉館」、温泉療養文化館御前湯、「クアパーク長湯」などの入浴施設、そして風情ある旅館が多いのが特長で、滞在にも向いています。
飲んで効き、長湯して効く、胃腸心臓に血の薬
長湯温泉の炭酸泉は、「飲んで効き、長湯して効く、胃腸心臓に血の薬」といわれ、炭酸泉は血行を促進するため、神経痛や心臓病に効き、また、飲めば胃腸の働きを活発にするので、胃腸病や便秘に効能があるといわれています。
日本一の炭酸泉といわれるのは、濃度、温度、湧出量が総合的に日本一ということ。
「地域全体の炭酸泉湧出量はもちろん日本一、 そして平均温度46.9度という高温域で記録されている炭酸ガス濃度1200PPMというのも驚異的なものです。船でもそのガス濃度は700PPMを維持していますが、これは花王が製造している入浴剤「バブ」の7倍を誇ります」(現地看板)とのこと。
泉質は二酸化炭素泉、そして重炭酸イオンとアルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム)を多量に含んでいる炭酸水素塩泉の2種類。
湧出量は毎分2500kLで、炭酸泉湧出量日本一です(源泉はすべて掘削泉ですが、自噴)。
炭酸泉も水のように冷たい温度で湧出すると、加温した段階で炭酸ガスが抜けてしまうという難点があります。
共同露天風呂「ガニ湯」の源泉温度は32度と温めですが、加温なしの源泉かけ流し。
この加温、加水なしの源泉かけ流しという点が、温泉好きが評価する部分です。
長湯温泉を世に出した松尾武幸、御沓重徳
昭和初期にドイツのカルルスバード(Karlsbad/現・チェコ共和国)で温泉治療学を学んだ九州帝国大学の松尾武幸(まつおたけゆき)博士は、門司鉄道病院の気賀澤副院長から長湯温泉の炭酸ガス濃度の高さを聞き、長湯温泉の効能を科学的に解析(こうして「飲んで効き、長湯して効く、胃腸心臓に血の薬」の名フレーズが松尾博士の手によって生まれます)。
「長湯温泉は世界稀有の含炭酸泉で、含有量千分の二・五あり、四十二度の温泉である」ことが判明したのです。
それを受けて御沓重徳(みくつしげのり)は長湯観光協会を設立し、「東方日本の長湯温泉、西方ドイツのカルルスバード」(昭和8年のパンフレットの記述)とPRを開始しています。
さらに昭和10年には松尾武幸の指導で、御沓重徳の経営する旅館「愛泉館」の庭に、ドイツ建築の洋館である共同浴場「御幸湯」を建設しています。
長湯温泉の温泉の効能を活用してのPRは、昭和8年から戦時下の昭和16年まで、精力的に行なわれますが、戦争へと突入し、花開くことなく終わっています。
戦後は、温泉保養の名のもとに遊興的な温泉地が増え、旅館も大型化しましたが、長湯温泉は、地道に保養型の温泉保養地としての活動を続け、小規模旅館を中心にした滞在型であり続けたのです。
今も「外湯めぐりの文化」、松尾武幸の唱えた飲泉などを大切にする土壌が、地域全体の活性化につながっているのです。
長湯温泉 | |
名称 | 長湯温泉/ながゆおんせん |
所在地 | 大分県竹田市直入町長湯 |
関連HP | 竹田市公式ホームページ |
ドライブで | 東九州自動車道大分光吉ICから約30km |
駐車場 | 道の駅ながゆ温泉駐車場など |
問い合わせ | 長湯温泉観光案内所 TEL:0974-75-3111 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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