広重の描いた近江八景

近江八景(おうみはっけい)は、中国の「瀟湘八景図」(北宋時代成立)になぞらえて、琵琶湖の湖南の名称を8つ選んだもの。江戸時代の初め、公家の近衛信尹(このえのぶただ)の選と推測されています。近年発見された史料から、琵琶湖畔の膳所城(ぜぜじょう)からの眺望を和歌で詠み、選んだものだということがわかっています。

『東海道五十三次』のヒットを背景に『近江八景』を描いた!

歌川広重が描いた錦絵による名所絵(浮世絵風景画)揃物『近江八景』は、広重の代表作にもなっています。
『保永堂版 東海道五十三次』の大ヒットを背景に、同じ版元・保永堂によって1834(天保5)年頃、刊行されています。
広重は、生涯で20種類あまりの『近江八景』シリーズを手がけていますが、傑作とされるのが、この『保永堂』版。
「雨と雪と霧の芸術家」と海外で称賛された広重の真価が発揮された作品です(縦23.3cm×横35.3cm=横位置)

また広重最晩年の傑作で、ゴッホが模写した『名所江戸百景』と同時期に、同じ版元の魚屋栄吉から出版されたものが安政4年の魚栄版。
こちらは、縦36.0cm×横24.5cmの縦位置の画面。

膳所城(膳所城跡公園)

2017年8月16日

石山秋月

石山秋月(いしやまのしゅうげつ)=石山寺/大津市
石山や 鳰(にお)の海(=琵琶湖)てる 月かげは 明石も須磨も ほかならぬ哉(かな)

『石山秋月』保永堂版
『石山秋月』魚栄版
石山寺

石山寺

2018年6月20日

瀬田夕照

瀬田夕照(せたのせきしょう)=瀬田の唐橋/大津市
露時雨(つゆしぐれ) もる山遠く 過ぎきつつ 夕日のわたる 勢多の長橋

『瀬田夕照』保永堂版
『瀬田夕照』魚栄版

瀬田の唐橋

2017年8月16日

粟津晴嵐

粟津晴嵐(あわづのせいらん)=粟津原/大津市
雲はらふ 嵐につれて 百船も 千船も浪の 粟津に寄する

『粟津晴嵐』保永堂版
『粟津晴嵐』魚栄版

矢橋帰帆

矢橋帰帆(やばせのきはん)=矢橋/草津市
真帆ひきて 八橋に帰る 船は今 打出の浜を あとの追風

『矢橋帰帆』保永堂版
『矢橋帰帆』魚栄版

三井晩鐘

三井晩鐘(みいのばんしょう)=三井寺(園城寺)/大津市
思うその 暁ちぎる はじめとぞ まづきく三井の 入あひの声

『三井晩鐘』保永堂版
『三井晩鐘』魚栄版

三井の晩鐘(三井寺・鐘楼)

2017年8月16日

唐崎夜雨

唐崎夜雨(からさきのやう)=唐崎神社/大津市
夜の雨に 音をゆづりて 夕風を よそにそだてる 唐崎の松

『唐崎夜雨』保永堂版
『唐崎夜雨』魚栄版

堅田落雁

堅田落雁(かたたのらくがん)=浮御堂/大津市
峯あまた 越えて越路に まづ近き 堅田になびき 落つる雁がね

『堅田落雁』保永堂版
『堅田落雁』魚栄版
浮御堂

浮御堂

2018年6月21日

比良暮雪

比良暮雪(ひらのぼせつ)=比良山系
雪ふるる 比良の高嶺の 夕暮れは 花の盛りに すぐる春かな

『比良暮雪』保永堂版
『比良暮雪』魚栄版
琵琶湖

琵琶湖

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広重の描いた近江八景
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