埼玉県飯能市(はんのうし)と入間郡越生町(おごせまち)境界に位置する峠が、顔振峠(かあぶりとうげ)。奥武蔵の山中をうねうねと走る奥武蔵グリーンライン、関東ふれあいの道「グリーンラインに沿ったみち」途中にあり、「顔振茶屋」、「平九郎茶屋」が営業。休憩ポイントになっています。
戦前から奥武蔵のハイキングコースとして知られる峠
顔振峠という風変わりな名は、平安時代、源義経が京落ちで奥州へ逃れる際、あまりの絶景に何度も振り返ったためとも、その際のお供の武蔵坊弁慶があまりの急坂に顔を振りながら登ったことが由来とも案内板には記されていますが、義経の奥州への逃亡ルートという可能性は低く、しかも弁慶は実在性すら定かでないので、後世の創作と推測できます。
斎藤鶴磯(さいとうかくぎ)が文化12年(1815年)に編纂した『武蔵夜話』(むさしやわ)には「越生領黑山村に嶺(たうげ)あり。北方より向ふは高麗郡長澤村なり。この嶺をカアブリ嶺といふ。按ずるにこの嶺は秩父山の入口にて嶺のはじまりなり、終の嶺を足が窪嶺といふその頭に有ゆゑ冠嶺(かぶりたうげ)といふ。方言にてカアブリと唱る故に本字を失うとおもはる」と記され、山並みの始まりにあるからという説を採っています。
ただし、山容が尖った冠のようということで「冠嶺」(かんむりとうげ)が転訛したという説もあります。
戦前から武蔵野鉄道(西武鉄道の前身)がハイキングコースをPRし、奥武蔵でも有名な峠のひとつ。
顔振峠の西側は、奥武蔵の山上集落のひとつ、風影(ふかげ)で、のどかな光景が広がっています。
顔振峠へは西武池袋線・秩父線吾野駅から、3.6km、徒歩1時間10分。
のんびり歩けば1時間30分ほど必要です。
15分ほど歩いた雨乞い塚(標高547m)からは関東平野の眺望が開け、顔振峠展望台とも呼ばれています。
埼玉県道61号(越生長沢線)は、顔振峠部分が未開通で、未開通部分は林道(笹郷線・権現堂線・風影線)で迂回しています。
顔振峠 | |
名称 | 顔振峠/かあぶりとうげ |
所在地 | 埼玉県飯能市長沢・入間郡越生町 |
電車・バスで | 西武鉄道吾野駅から徒歩1時間20分、西武鉄道西吾野駅から徒歩2時間10分 |
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