奇祭『榊祭』(大伴神社例祭/中山道望月宿)長野県佐久市

中山道望月宿の大伴神社の例祭。8月15日の夜、100人を超える老若男女が、松明を手に山から駆け下り、その炎を次々に鹿曲川へと投げ込みます。さらに榊(さかき)の神輿(みこし)を激しく地面に叩き付け、水を掛け合い、深夜にまでわたって執り行なわれる奇祭が『榊祭』。

火と榊によって一切の不浄を払い浄める

火と榊によって一切の不浄を払い浄め、五穀豊穣や無病息災を祈る、荒々しくも幻想的な火祭り。室町時代から続くといわれる歴史ある祭です。一説には、望月源三郎(望月信雅、印月斎)が武田信玄の軍に対してこちらも大軍と見せかけるために松明をかざしたことがルーツとも。

一発の花火を合図に、松明山(たいまつやま)に篝火(かがりび)が焚かれ、松明を手に山から2kmの道のりを駆け下ります。
松明を望月橋から鹿曲川に投げ込むと、闇夜に長い火の弧を描き、川面に落ちるその様はまるで火の滝。
お囃子が練り歩き、榊の神輿が繰り出すと祭りの熱も最高潮に。
大伴神社へ駆け上がった4基の榊神輿が神輿を地面に叩きつけ、水を掛け合い、深夜まで激しくあおり合います。

オープニングセレモニー、子ども神輿、横笛、船引き、望月高校ブラスバンド演奏、望月太鼓演奏、花火大会、民謡流し、榊神輿、獅子舞などが奉納されます。

ニッポン旅マガジンMEMO/望月に伝わる月を神と崇める信仰

大伴神社は、延長5年(927年)編纂の『延喜式神名帳(えんぎしきじんみょうちょう)』に記載される「佐久三座」の一つ。他の二社は長倉神社と英多神社。
祭神は大伴武日連(おおとものたけひのむらじ)と月読命(つくよみのみこと・つきよみのみこと=月を神格化した、夜を統べる神)。望月氏(もちづきうじ)の祖・大伴氏の祖神が大伴武日連。
望月氏のルーツは、平安時代に遡ります。当時、この地には朝廷の牧(官営牧場)がありました。貞観7年(865年)、それまで8月29日に行なっていた信濃国の貢馬の「駒牽」の儀式を、満月(望月)の日、つまり旧暦8月15日に改めました。この日に駒牽された貢馬を「望月の駒」と呼び、信濃十六牧(当時、信州には16の官営牧場がありました)の筆頭「望月の駒」を継承した一族にて望月の姓が与えられたのです。
ちなみに古代に望月の牧のあったところは、鹿曲(かくま)川、布施川、千曲川に囲まれた東西5km、南北5kmの広大な御牧原台地。
松明山には榊神社の祠がありますが、祭神は木之花咲夜姫。脇には豊川稲荷大明神。古き時代には製鉄で栄えていたのかもしれません。
佐久市望月町の城光寺入口には、月輪石(つきのわいし)が鎮座していますが、この石こそが月を信仰する対象となった月の霊石です。

広重の木曽街道六拾九次『望月』
広重の木曽街道六拾九次『望月』にもしっかりと満月が描かれています
奇祭『榊祭』(大伴神社例祭/中山道望月宿)佐久市
開催日 8月15日
開催時間 安全祈願祭=10:00〜10:30 (榊神社)
オープニングセレモニー=13:20〜13:35 (望月支所前)
子ども神輿=13:45〜16:00 (望月支所前出発)
望月太鼓演奏=17:30〜19:00 (望月バスターミナル)
松明点火=18:30〜 (松明山)
松明投下=18:40〜 (望月橋)
民謡流し=19:30〜 (竹花組前)
獅子舞・榊神輿=19:30〜 (JA望月支所)
榊神輿奉納=23:00〜(大伴神社)
所在地 長野県佐久市望月263
関連HP 佐久市公式ホームページ
電車・バスで JR佐久平駅からタクシーで30分
ドライブで 中部横断自動車道佐久南ICから約9km
問い合わせ 佐久市望月支所 TEL:0267-53-3111
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

 

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