鹿児島県鹿児島市、鹿児島港と桜島港を結ぶ桜島フェリー。錦江湾(鹿児島湾)を渡り、航海時間15分で結ぶ鹿児島市営の航路で、これまでは24時間運航が行なわれてきました。2025年10月1日(水)〜午前0時からの3時台までの定期便8便を廃止し、24時間運航が幕を閉じました。
41年にわたって継続の24時間運航が終焉
1984年度から41年にわたって24時間体制で運航を続けてきましたが、桜島・大隅地域の人口減少(島民も10年前から3割減)や東九州自動車道延伸、さらにコロナ禍での観光客減という利用客の減少、さらに燃料費、物価高騰の影響が追い打ちをかけ、2015年度から10年連続で赤字が継続。
2024年7月1日には普通旅客運賃200円を250円に、自動車航送運賃もアップするという運賃改定(値上げ)に踏み切りましたが、抜本的な解決には至りませんでした。
赤字額の累計は昨年度まででおよそ28億6000万円で、かつての「ドル箱路線」だったイメージはもうありません。
1934年12月1日、民間が運営していた船舶を買収し、当時の西桜島村の村営船として運航を開始したのが公営渡船としての始まり。
1914年の大正噴火で壊滅的な被害を受けた島民の生活を支える貴重な足として、当初は1日7便運航していました。
1941年、貨物自動車3台を積載する、日本初のカーフェリーが運航。
高度成長期の1960年には大型バスを積載できる「第六櫻島丸」が就航し、観光バスなどによる桜島探訪の貴重な足として活用されました。
鹿児島市民にとっては1978年に納涼船もスタート。
1997年には年間1億4600万の黒字となり、公営交通としては優等生となっていました。
24時間態勢だったのは、物流だけでなく、島民や垂水方面の方の緊急搬送を担っているから。
2025度の調査では、深夜時間帯の利用は1便につき車両5.2台、旅客4.9人という数値。
運航停止により3500万円の削減にしか過ぎず、年間2億円程度の赤字額からすれば6分の1程度ということなので、まだまだ改善の余地があることに。
活火山・桜島に暮らす人を支える桜島フェリーも時代の波には打ち勝てなかったのかもしれません。
桜島フェリー、24時間運航に幕 | |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |