「日本で最も土砂が貯まったダム」は堆砂率97.8%で、南アルプス山中に!

千頭ダム

国土交通省の全国のダムの堆砂状況(令和5年度=令和7年6月現在の最新)によれば、「日本で最も土砂が貯まったダム」は大井川水系寸又川を堰き止めた千頭ダム(せんずだむ/静岡県榛原郡川根本町)。昭和10年に完成した歴史ある発電用のダムですが総貯水容量495万立法に対して、堆砂量483.9万立法で、97.8%も埋まっていることに。

排砂ゲートから堆砂を放流、少しだけダム湖の湖面も

千頭ダム

千頭ダム(重力式コンクリートダム)の堤高は64.0mで、完成当時は東海地方でもっとも高さのあるダムでした。
ダム・発電所建設資材の輸送のため、延伸したのが大井川鐵道です。

大井川水系の電源開発事業のひとつとして築かれたダムですが、当初から堆砂が進行し、昭和30年代、建設から20年ほどでダム湖は砂で埋まってしまいました。

下流に築かれた大間ダム(堤高46.1m/昭和13年幹線)も、総貯水容量151.9万立法に対して堆砂量134.3万立法で88%の堆砂率となっています。
しかも満砂となった後にも、堆砂は進むので、上流では河床上昇が生まれています。
また本来は河口に流れ出るはずの土砂が堰き止められているため、海岸侵食や砂丘の衰退といった問題も生じています。

そうした問題を解決するため、排砂ゲートから堆砂を放流しているのです。

なぜ20年足らずで埋まってしまったのかといえば、糸魚川静岡構造線、中央構造線が東西にあり、褶曲を受け節理が発達。
しかも急峻な南アルプスの山中に位置し、脆弱な地質でありながら、標高差、気温の較差が大きいため、風化浸食が顕著というダム建設にとっては大きな弱点を抱えていたのです。

千頭ダムは、寸又峡温泉から光岳(深田久弥の『日本百名山』に選定される、南アルプス南部の峰)への登山道途中にあり、寸又峡温泉から11kmほど歩く必要があります。
歩く道は林道状ですが、かつての千頭森林鉄道の廃線跡です。

千頭ダム
レトロなダム堰堤は土木学会の土木遺産に認定
「日本で最も土砂が貯まったダム」は堆砂率97.8%で、南アルプス山中に!
名称 千頭ダム/せんずだむ
所在地 静岡県榛原郡川根本町千頭
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

 

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