大化の改新を行ない、近江大津京(現在の大津市錦織一帯にあった)を造営した天智天皇(てんじてんのう=中大兄皇子/なかのおおえのおうじ )を祀る神社で、皇紀2600年を記念して、昭和15年、大津京ゆかりの地に創建されたのが近江神宮。朱塗りの楼門をくぐると、近江造りという新しい様式の建物が建ち並んでいます。
近江大津京を開き律令国家を確立した天智天皇が祭神
祭神は天智天皇、つまりは天命開別大神(あめみことひらかすわけのおおかみ)。
時の祖神、開運・導きの大神、文化・学芸・産業の守護神としてのご神徳があるとのこと。
外院(外拝殿・内拝殿・回廊)と内院(本殿・祝詞舎・渡廊)に分けられた境内は大津京を偲ばせる厳かな雰囲気。
天智天皇が初めて時計(漏刻と呼ぶ水時計)を作らせたことにちなんで、和時計を中心に古今東西の時計約3200点と、大津京跡関連出土品を展示する「近江神宮時計館宝物館」を併設しています。
また、6月10日の「時の記念日」には、『漏刻祭』が執り行なわれています。
天智天皇10年4月25日(671年6月10日)、天智天皇は近江大津京に漏刻(水時計)を設置。
これが日本の時計の始まりとか。
3層に分かれた枡から流れ落ちる水の量で時間を計り鐘鼓を鳴らして時を知らせたことが『日本書紀』に記されているのです。
近江大津京から平安時代の末期までこの方法で全国の鎮守府では時を知らせていたとか。
6月10日の「時の記念日」は天智天皇がこの漏刻を用いて時を知らせ始めた日を太陽暦に換算して制定。
「時の記念日」には、全国の時計関係者が一同に集う「漏刻祭」を斎行。
さらに小倉百人一首巻頭歌の「秋の田のかりほの いほの 苫をあらみ わが衣では 露に濡れつつ」が天智天皇の歌ということで競技かるたの日本一、全日本大学かるた選手権大会などは近江神宮で競われます。
鳥居、神門、社務所、拝殿などの社殿は昭和15年、昭和19年の築ですが、国の登録有形文化財。
自動車清祓所は、明治23年築の旧大津裁判所本館車寄で、国の登録有形文化財。
境内には世界の時計約2300点を集めた「時計館宝物館」、宿泊施設で一般の宿泊も可能な「近江勧学館」なども建っています。
近江神宮のおもな年中行事
1月1日/歳旦祭=新年初太鼓が打ち鳴らされ、新しい年を祝います
1月4日以降の最初の土曜/競技かるた名人位クイーン位決定戦=競技かるたの最高位を決める恒例の行事で、テレビのニュースなどでもおなじみ
1月10日/天智天皇祭=天智天皇の命日
2月3日/節分祭=追われた鬼を救い、鬼は人々に災いをもたらさないことを約束
2月23日/律令祭=天智天皇が日本で最初の成文法といわれる近江令を制定、律令国家の基礎を築きました
4月20日/例祭=近江大津京に遷都した日
4月20日以降の最初の日曜/近江まつり=子供神輿が渡御
4月29日/昭和祭=昭和天皇創建ともいえる近江神宮。昭和天皇の誕生日に昭和天皇と昭和を偲びます
6月第1日曜/流鏑馬神事=天智天皇が狩りに出かけたという故事に倣い行なわれています
6月10日/漏刻祭=時の記念日の祭典
6月25日/献菓献煎茶祭=郁子(むべ)の実を加工したのがういろうのルーツ。天智天皇の郁子の実伝説にちなみ、菓子と煎茶を献上
6月30日/夏越しの大祓=半年間のうち、知らず知らずのうちに積もった罪と穢(けがれ)を祓います
7月7日/燃水祭=天智天皇7年、越国(こしのくに=現在の新潟県)から「燃水・燃土」が献上されたことにちなみ、新潟県の黒川で採油した原油が献上されます
7月22日・23日/全国高等学校かるた選手権=かるたの甲子園
中秋名月/観月祭=すすき、月見団子をお供え
11月1日/菊花祭=湖国菊花展開催
11月7日/御鎮座記念祭=昭和15年11月7日に創建された近江神宮の誕生祭
12月13日/門松たて=正月事始め
12月31日/年越しの大祓=半年間のうち、知らず知らずのうちに積もった罪と穢(けがれ)を祓います
唐・新羅の日本侵略の可能性という国際情勢も反映して、飛鳥から琵琶湖の水運が利用できる近江大津京へと遷都し、律令国家の体制づくりが始まります。
中大兄皇子は、天智天皇6年3月19日(667年4月17日)、飛鳥から近江大津宮へ遷都。
天智天皇7年1月3日(668年2月20日)、即位して天智天皇を名乗っています。
670(天智天皇9)年、日本最古の全国的な戸籍「庚午年籍」を作成、さらに671(天智天皇10)年、漏刻(水時計)を設置。
天智天皇10年12月3日(672年1月7日)、近江大津宮で崩御。
近江神宮 | |
名称 | 近江神宮/おうみじんぐう |
所在地 | 滋賀県大津市神宮町1-1 |
関連HP | 近江神宮公式ホームページ |
電車・バスで | JR西大津駅から徒歩20分。または京阪石山坂本線近江神宮前駅から徒歩7分 |
ドライブで | 名神高速道路大津ICから約6.5km |
駐車場 | 200台/無料(1月1日〜1月5日は有料) |
問い合わせ | 近江神宮 TEL:077-522-3725/FAX:077-522-3860 |
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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