由良谷川隧道

由良谷川隧道

滋賀県湖南市にある明治19年3月に竣工した石造道路トンネルが由良谷川隧道。すぐ東側の大沙川隧道(明治17年3月竣工)が滋賀県下初の石造道路トンネルですが、2つの連続する石造隧道が旧東海道に現存しています。しかも注目は、「川をくぐるトンネル」という点。実は大沙川、由良谷川ともに天井川なのです。土木学会の土木遺産に認定。

天井川をくぐる明治19年完成の石造トンネル

湖南市(旧甲西町)の山々は明治の末まではほとんどはげ山でした。
もともとは奈良の都を造る際に、寺院建築のために木材を切り出したことに始まります。
そうしたことから土砂が川に流れ出し、大砂川、由良谷川、家棟川はいずれも天井川になってしまい、「人馬通行ノ難所タルハ衆人ノ熟知スル所」だったのです。
明治になって馬車などの運行に、この天井川が大きな妨げになったため、最新の技術を使って滋賀県が石造の隧道を川の下に建設したもの。
国土地理院の地形図には水部となって川が描かれていますが、実際には普段は水の流れがありません。

家棟川隧道、由良谷川隧道、大沙川隧道と3つの隧道が連続していましたが、天井川の平地河川化により、家棟川隧道は失われています。

長さ16.0m、高さ3.6m、幅4.5mの由良谷川隧道は、欠円アーチ断面で、両側壁は花崗岩切石積みになっていて、大沙川隧道同様、土木学会の「ランクA」(国の重要文化財に相当)の土木遺産という評価を得ています。

由良谷川隧道
名称由良谷川隧道/ゆらやがわずいどう
所在地滋賀県湖南市夏見・針
電車・バスでJR草津線甲西駅から徒歩15分
ドライブで名神高速道路栗東ICから約10km。栗東湖南ICから約8km
駐車場なし
問い合わせ湖南市観光協会 TEL:0748-71-2157/FAX:0748-72-9622
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
大沙川隧道・弘法杉

大沙川隧道・弘法杉

滋賀県湖南市の大沙川(おおすながわ)は、典型的な天井川(砂礫の堆積が原因で河床が周辺よりも高くなった川)。大沙川の下をトンネル(隧道)で通り抜ける大沙川隧道は、明治17年3月竣工という石造の隧道。建設当初の位置で現存する現役の石造道路隧道と

百瀬川隧道

百瀬川隧道

滋賀県高島市にある百瀬川扇状地(ももせがわせんじょうち)は、扇状地と天井川の典型的な場所として有名。琵琶湖に流れる一級河川・百瀬川は、急流のために上流の谷が削られ、川が運ぶ砂礫は年間3万トンとも。この百瀬川を横切るのが滋賀県道287号(小荒

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