国内に唯一現存する旧日本海軍の戦闘機「紫電改」を展示する愛媛県県南宇和郡愛南町の「紫電改展示館」。昭和53年に久良湾で発見され、引き上げられた紫電改が、復元作業を経て恒久平和を願うシンボルとして展示されていますが、施設が老朽化し、隣接する新展示館への移設を計画。ふるさと納税型クラウドファンディングで、募金を実施中です。
ふるさと納税型クラウドファンディングを実施中
昭和20年7月24日、空中戦の末に愛南町久良湾に不時着したとされたその機体は、昭和53年、地元ダイバーによって偶然発見され、翌年7月14日、県によって34年ぶりに引き揚げられました。
「戦争の悲惨さを伝える遺産として原形のまま残したい」という関係者の強い想いのもと、曲がったプロペラや無数の穴もそのままに、最低限の修復を施し、久良湾に機首を向けて「紫電改展示館」で公開されています。
建設から45年経過した展示館は老朽化が進んでおり、令和8年度中の建物完成を目指して新たな展示館の整備計画が進行中。
「引き揚げ当時の原形をできるだけ保ったまま後世に伝える」という当初の方針を尊重するためには、実機の状態に十分配慮した、機体の補強をはじめとする慎重な移設作業の必要性が明らかとなり、ふるさと納税を活用したクラウドファンディングを実施することになったもの。
「ふるさと納税型クラウドファンディングは、ふるさと納税と同様に、寄付額から2000円をこえる分について税の控除が受けられるため、実質自己負担額2000円でご寄付いただけます」(愛媛県)とのこと。
返礼品は、紫電改オリジナルステッカー、オリジナルピンズ、オリジナル木製ペン、模型、移設・クレーン作業見学会への招待など。
7月1日から寄付を募り、貴重な戦争遺産を後世に残す取り組みが共感を呼んだため、目標の3800万を達成。
愛媛県は9月5日の受け付け終了に向け、新たな目標を5700万円に設定し、協力を呼びかけています。
寄付者の8割が県外で、応援のコメントが続々と届いているとのこと。
なかには「ちばてつやの漫画『紫電改のタカ』に感銘を受けた」という世代も(『紫電改のタカ』=昭和38年〜昭和40年に『週刊少年マガジン』に連載した人気漫画)。
ちなみに紫電改は、「紫電」の後期型(紫電二一型)の通称ですが、日本海軍も紫電改という名前を用いていたので、一般には紫電改と呼ばれています。
日本軍の戦闘機の中で最優秀機のひとつで、戦争末期に精鋭部隊の第三四三海軍航空隊「剣部隊」に集中配備されて活躍しました。
【愛媛発】唯一の戦闘機「紫電改」が新展示館へ移設、クラウドファンディング実施中 | |
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