島根県鹿足郡津和野町、武家屋敷が並ぶ殿町通りでひときわ異彩を放つ、津和野カトリック教会。長崎浦上のキリシタン信徒の殉教地として知られる津和野にエメ・ヴィリヨン神父によって創設されたもの。現在の聖堂は、昭和4年築で国の登録有形文化財。ゴシック様式の石造建築が、荘厳な雰囲気を醸し出しています。
「浦上四番崩れ」を今に伝える津和野の教会
江戸時代のキリシタン迫害を生き抜いた長崎浦上の隠れキリシタンたちが、江戸幕府が瓦解した慶応4年(1868年)〜明治3年、「浦上四番崩れ」(うらかみよばんくずれ)という弾圧で、木戸孝允が長崎を訪れて処分を協議した結果、信徒の中心人物114名を津和野、萩、福山へと流刑にすることが決まりました。
津和野では、神道による教化、改宗を迫りましたが、キリスト教への帰依は失われず、乙女峠の一隅にある、氷の張った池に裸にされて投げ込まれるなどの拷問を受けましたが、それでも棄教しませんでした(尊皇攘夷運動が盛んだった萩など流刑先で行なわれた改宗を迫る拷問は、過酷さと残虐さは旧幕時代以上だったといわれています)。
こうした隠れキリシタンへの弾圧はヨーロッパ諸国へも報告されましたが、尊皇攘夷運動を継承した明治政府の保守派は、神道が国教である(神道国教化)として厳しい弾圧を続けましたが、条約改正などへの障害となるため、明治6年2月24日、日本政府はキリスト教禁制の高札を撤去し、信徒を釈放しています。
津和野カトリック教会を創設したのは、明治維新の年に来日し、昭和にかけてカトリックの布教に尽力したエメ・ヴィリヨン(Aimé Villion)神父。
現存する建物は、昭和4年の再建。
木造平屋建て、内部の礼拝堂は24畳敷きの和風の造りで、色鮮やかなステンドグラスとの対比も興味深いものがあります。
併設して、乙女峠の殉教の歴史を記した写真や資料を展示する乙女峠展示室があるほか、毎年5月3日には『乙女峠祭』が行なわれています。
津和野カトリック教会 | |
名称 | 津和野カトリック教会/つわのかとりっくきょうかい |
所在地 | 島根県鹿足郡津和野町後田殿町 |
関連HP | 津和野カトリック教会公式ホームページ |
電車・バスで | JR津和野駅から徒歩8分 |
ドライブで | 中国自動車道六日市ICから約34km |
駐車場 | 町営駐車場(70台/有料) |
問い合わせ | 津和野カトリック教会 TEL:0856-72-0251/FAX:0856-72-0282 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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