佐賀県鳥栖市田代本町にある直径42m、高さ6mほどの円墳が、田代太田古墳。6世紀後半(古墳時代後期)の築造ですが、熊本県などに多い装飾古墳。壁には赤、黒、緑の顔料三色を使って、幾何学模様と図像が描かれ、連続三角文や人・馬・舟・花などが美しく表現されています。国の史跡。
花崗岩の黄色を活かし、赤、黒、緑の3色で壁画を描く!
装飾古墳は、熊本県を中心に九州では中部域だけに限定され、佐賀県内では唯一鳥栖市の古墳(田代太田古墳と、ヒヤーガンサン古墳)と神埼市の伊勢塚古墳だけに装飾が施されています。
埋葬施設は全長9mの横穴式石室で、装飾文様は後室奥壁と後室、中室の間の張り出した石(袖石)の手前部分と中室右側の壁に描かれています。
赤色顔料はベンガラ(紅殻=酸化鉄)、黒色顔料は炭化物、緑色顔料はヨーロッパなどでも使われた海緑石(かいりょくせき)で、岩肌の花崗岩の黄色を巧みに活かし、4色使ったかのように見えます。
絵柄は、三角文、蕨手文(わらびてもん=蕨の形に似た渦巻状の文様)、人物、騎馬人物、花文、高杯、楯、同心円文で、被葬者の魂を守る呪術的な意味合いがあったと推測されています。
古墳は私有地(民家)内にあるため、普段は見学することができませんが、年1回、人数も限定で特別公開が行なわれています。
田代太田古墳の数十年後にヒヤーガンサン古墳(鳥栖市弥生が丘7丁目)が築かれていることから、田代太田古墳は九州における装飾古墳の最盛期、そしてヒヤーガンサン古墳は、装飾古墳の終末期に築かれたとことがわかります。
注/使用する画像は壁画の復元描写
田代太田古墳 | |
名称 | 田代太田古墳/たしろおおたこふん |
所在地 | 佐賀県鳥栖市田代本町太田 |
関連HP | 鳥栖市公式ホームページ |
電車・バスで | JR田代駅から徒歩25分 |
ドライブで | 長崎自動車道鳥栖ICから約2km |
問い合わせ | 鳥栖市生涯学習課文化財係 TEL:0942-85-3695/FAX:0942-83-0042 |
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