駿府城二ノ丸 巽櫓・東御門を見学

慶長12(1607)年、将軍職を2代目・秀忠に譲った家康は隠居して駿府城(静岡市)に暮らします。
東海道の要衝である駿府に暮らすことで、江戸を守るのと同時に、西への睨みをきかしたのです。
人質時代に暮らした住みやすい温暖な土地で余生を、という気持ちもあったことでしょう。

駿府城二ノ丸は藤堂高虎が普請

輪郭式で石垣を廻らせた三重の堀を有し、本丸の北西には5層7階の勇壮な天守を配置していました。
江戸幕府が助役として22人の大名を動員した「天下普請」(てんかぶしん)での築城です。
慶長12年(1607年)正月25日、越前・美濃・尾張・三河・遠江の諸大名に役夫を出すように命が下ります。
2月17日、駿府城の普請が開始し、本丸から工事に着手。
3月17日、家康が駿府に到着し、藤枝の田中城に滞在して普請の進捗状況を見守ります。
防御の要である二ノ丸、三ノ丸は築城の名手、藤堂高虎が担当しています。

そんな駿府城ですが、度重なる大火、そして明治維新後の陸軍歩兵第34連隊の誘致で、ほどんどの建築物が失われました。
三島市にある妙法華寺の奥書院にある「於万の居間」が現存する唯一の駿府城の遺構で、静岡市には何もありません(妙法華寺奥書院は非公開)。

歩兵34連隊の誘致に伴い本丸堀は埋められ、本丸と二ノ丸の境が判然としません。
(本丸堀の位置は地図参照)

三ノ丸は静岡県庁などの公共用地となっています。
本丸、二ノ丸部分は駿府城公園として整備されています。
大名庭園として二ノ丸部分に紅葉山庭園が復元されてはいますが、往時には本丸にあった庭園で、当時の面影はありません。

日本古来の伝統工法に則って復元

往時の雰囲気を活かして復元されたのが、巽櫓(たつみやぐら)と東御門、そして坤櫓(ひつじさるやぐら)です。
巽(たつみ)=東南の方角、坤(ひつじさる)=西南の方角を表す言葉で、それぞれ二ノ丸の東南と西南に建てられた隅櫓(すみやぐら=城郭の角に設けた櫓)です。

巽櫓は平成元年、東御門は平成8年に日本古来の伝統工法に則って復元されたもの。
巽櫓は駿府城では最高層の櫓で、他には例の少ないL字構造をしています。
東御門は、駿府城二ノ丸の東に位置する枡形門(ますがたもん)で、二ノ丸堀に架かる東御門橋と高麗門、櫓門、南と西の多聞櫓で構成される防御の要を担う複雑な門です。
土塀には、鉄砲狭間(てっぽうざま)、矢狭間(やざま)という実戦的な狭間を配しています。
高麗門と櫓門の間が枡形で、数百人規模の武士がここに集結できる武者溜り(むしゃだまり)になっています。

駿府城
防御を重視した構造だということがよくわかる
東御門の枡形
東御門の枡形

ieyasu
↑「厭離穢土欣求浄土」(おんりえんりえどごんぐじょうど)は、「苦悩の多い穢れたこの世を厭(いと)い離れたいと願い心から欣(よろこ)んで平和な極楽浄土を冀(こいねが)うこと」。つまりは徳川家康の平和思想です

内部は資料館になっている

東御門と巽櫓の内部は、資料館で、入場するとまずは家康晩年の像が出迎えてくれます。
駿府城下町模型、駿府城模型、また天守模型などが展示されています。
天守は。天守台石垣の上に建てられたのではなく、天守曲輪(てんしゅくるわ)のなかに隅櫓と多聞櫓を巡らし、その中央に建築されました。

そのほか、「家康公の手習いの間」(復元)、二ノ丸堀から出土した大御所時代のものといわれる青銅製鯱鉾(市指定文化財)なども展示されています。
「家康公の手習いの間」は、賤機山(しずはたやま)の麓の臨済寺に現存する間を復元したもの。
臨済寺のホンモノ(臨済寺は武田信玄による駿河侵攻で焼失しているので、ホンモノも復元されたもの)は春と秋年2回の特別公開時以外は非公開なので、復元(の復元)とはいえ必見です。
松平竹千代(家康の幼名)は、この寺で今川家の人質時代に今川義元の軍師でもある太原雪斎(たいげんせっさい)の教えを受けました。
天文18年(1549年)11月、三河安祥城を攻めて織田信広を捕縛し、織田信秀と交渉を重ねて、織田家に奪われていた人質の松平竹千代を今川氏のもとへと取り戻したのもこの太原雪斎。人質の交換は笠寺観音(笠覆寺/名古屋市南区)で行なわれました。
人質とはいえ、家康にとっては恩師にあたります。

二ノ丸堀で発見された青銅製のシャチホコ
昭和44年11月に二ノ丸堀で発見された高さは1.4m、重さ480kgの青銅製のシャチホコ(鯱鉾)
駿府城竹千代手習いの間
復元された「竹千代手習いの間」
駿府城天守
天守曲輪と天守の模型

駿府城二ノ丸 巽櫓・東御門DATA

施設名 駿府城二ノ丸 巽櫓・東御門
住所 静岡市葵区駿府城公園1-1
営業時間 9:00〜16:30(入館は16:00まで)
休業日 月曜(祝日の場合は営業)、12月29日~1月3日休
電車・バスで JR静岡駅から駿府浪漫バスで15分、東御門下車
ドライブで 新東名高速道路新静岡ICから17分。または、東名高速道路静岡ICから20分
駐車場 市民文化会館地下駐車場(246台/有料)を利用
問い合わせ 駿府城公園 TEL:054-251-0016
関連HP 駿府城公園公式ホームページ
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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