日光東照宮の参詣ルート途中、陽明門下の西側に位置するのが日光山輪王寺の薬師堂。日光東照宮の境内図には本地堂としるされているのは、経蔵とともに明治4年の神仏分離以降もその帰属が日光山輪王寺と日光東照宮の間で確定していないため。建物は近年の再建ですが、天井の「鳴き龍」が有名です。
日光東照社の本地仏・薬師如来を祀った堂
徳川家康はその遺言で、久能山に埋葬され、さらに日光山へと改葬されていますが、側近だった天海(てんかい)大僧正(天台宗)と以心崇伝(いしんすうでん=金地院崇伝/臨済宗)の間で、権現にするか、明神にするのかで争われ、結果、東照大権現として祀られることになりました。
豊臣秀吉が「豊国大明神」として祀られ、その後豊臣家は滅亡したので明神は不吉という理由から、天海が押し切って、山王一実神道(さんのういちじつしんとう/山王権現は大日如来であり、天照大神であると説く、仏教を主とする神道の考え)に則って薬師瑠璃光如来を本地(本来の仏)とする権現(仏が日本の神として現れた仮=権の姿)とされたのです。
つまり、日光山輪王寺は薬師瑠璃光如来を祀るので、薬師堂とし、日光東照宮は本地仏を祀るので本地堂としており、仏教、神道とその立場から堂の名称も異なることに。
本地仏としての薬師瑠璃光如来を祀る堂のため、神仏分離以前の日光東照社(現・日光東照宮)でも最大の建造物になっています。
天井には堅山南風(かたやまなんぷう)が描いたという縦6m、横15mという巨大な龍が描かれています。
当初は狩野安信の天井画でしたが、昭和36年に失火で創建時の薬師堂は焼失。
現在の建物は再建なのです。
この龍の中央真下で手を叩くと、龍が鳴くような共鳴があり、「鳴き龍」として有名。
堂内に入り、解説を聞きながら、「鳴き龍」の共鳴を耳にすることができます。
この鳴龍、設計段階からのものなのか、偶然そうなったのかは定かでありません。
明治38年、清掃の際、鳩を追い出すために手を叩いたところ、この「鳴き龍」が偶然、発見されたのです。
「鳴き龍」の原理は、天井部分に「むくり」という凹凸物があり、フラッターエコー(天井に凹凸をつけることで不規則な多重反射を起こすことで生まれる音響障害)が発生するから。
再建された現在の建物も、以前同様に音が反響するように、往時のままに復元されています。
日光山輪王寺・薬師堂 | |
名称 | 日光山輪王寺・薬師堂/にっこうさんりんのうじ・やくしどう |
所在地 | 栃木県日光市山内2300 |
関連HP | 日光山輪王寺公式ホームページ |
電車・バスで | 東武日光駅から東武バス世界遺産めぐりで勝道上人像前下車、徒歩8分 |
ドライブで | 日光宇都宮道路日光ICから約4km |
駐車場 | 100台/有料 |
問い合わせ | 日光山輪王寺 TEL:0288-54-0531 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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