日本国内で生産される瓦のうちで、もっともシェアの多いのは、愛知県・三河地方(愛知県の東部)の三州瓦。淡路島で生産されるいぶし銀の淡路瓦、島根県の石見地方(いわみちほう)で生産されている赤い色の石州瓦が日本三大瓦。石州瓦は北前船など日本海の交流を利用し、日本海側にシェアを有しているなど、歴史的環境的なすみ分けも。
三州瓦
生産地域:愛知県西三河/高浜市・碧南市
歴史:奈良時代まで逆上り、奈良・東大寺大仏殿の瓦も焼成。
瓦の種類:いぶし瓦、塩焼瓦、釉薬瓦(陶器瓦)
特徴:粘土瓦国内シェアの7割〜8割を占める大産地。製造時の仕上げの段階で使われる釉薬による美しさは、陶器の歴史がある愛知ならでは。高い意匠性、屋根材としての幅広いバリエーションが豊富であることから全国で使われています。鬼瓦の生産でも有名。
関連団体:愛知県陶器瓦工業組合
淡路瓦
生産地域:兵庫県淡路島/南あわじ市
歴史:6世紀末の窯跡が発見されています。記録に残る瓦製造は慶長18年(1613年)、由良成山城建設の際。
瓦の種類:いぶし瓦、釉薬瓦(陶器瓦)、窯変瓦
特徴:いぶし瓦に適した粒子の細かい「なめ土」と呼ばれる瓦製造に適した粘土(成型が簡単)に恵まれ、いぶし瓦の生産量は全国一。焼成温度は1000℃前後と三大瓦のなかでは最も低いため、寒冷地の利用には適さない。焼成時、表面に炭素膜をつくる燻化(くんか)を施し、耐火性や劣化に強いといった特徴も。「A・KAWAERA」でPR中。
関連団体:淡路瓦工業組合
石州瓦
生産地域:島根県石見(いわみ)地方/江津市、大田市、浜田市、益田市
歴史:石見国の国分寺建設にも用いられたという説があります。
瓦の種類:釉薬瓦(陶器瓦)
特徴:出雲地方で産出される含鉄土石「来待石」(きまちいし)を釉薬に使用することで、独特の赤褐色が生まれ、島根県の赤瓦の町並み(世界遺産・石見銀山の大森地区など)を生み出すのが石州瓦。耐火度の高い陶土を使い、焼成温度が1200度以上と高温。それによって「凍てに強く、水を通さない」、「固くて丈夫」(耐寒性と耐塩害性)な瓦であるから、日本海側や北海道など、寒冷地方でシェアが高いのが特徴。釉薬瓦では全国シェアの2割を占めています(瓦としても三州瓦に次ぎ、2位の普及率)。
関連団体:石州瓦工業組合
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