江戸東京たてもの園・旧自証院霊屋

江戸東京たてもの園・旧自証院霊屋

東京都小金井市、都立小金井公園内にある江戸東京たてもの園・センターゾーンにあるのが、旧自証院霊屋(きゅうじしょういんおたまや)。尾張藩2代藩主・徳川光友(とくがわみつとも)の正室・千代姫が、母・お振の方(3代将軍徳川家光の側室)を供養するために建立した霊屋で、東京都の文化財に指定。

3代将軍・徳川家光の側室・自証院の霊屋

江戸東京たてもの園・旧自証院霊屋

自証院霊屋は、慶安5年(1652年)、市谷富久町の自証院(自證院)に建立されたもの。
建立した千代姫は、江戸幕府3代将軍・徳川家光の長女で、母は側室のお振の方(石田三成の曾孫)。
春日局の養女として大奥に入り、寛永13年(1636年)、家光の手がついて初めての側室に。
お振の方は、千代姫出産3年後の寛永17年(1640年)に没していますが、これは10代前半という若さからとも推測されています。
法名は自証院殿光山暁桂大姉(じしょういんでんこうざんぎょうけいだいし)で、自証院は法名ということに。
自証院(自證院)もお振の方の菩提寺として建立された寺で、1640年(寛永17年)開山。
明治37年に没した小泉八雲は、自証院で葬儀を行なっています。

建物は、入母屋造り(いりもやづくり)銅板葺き、方三間(ほうさんげん=間口・奥行とも柱間が3ヶ所)。
極彩色や金箔、黒漆に彩られた華麗な装飾が施されるのは、将軍の側室だったからで、徳川将軍家、そして御三家筆頭の尾張徳川家の権勢(けんせい)を今に伝える霊屋です。
慶安5年(1652年)、創建時の棟札には「大工甲良豊前守宗清」(だいく・こうらぶぜんのかみむねきよ)とあり、この建物の作事を担当したのは、幕府作事方大棟梁を務めていた甲良家3代・宗清であることがわかります(甲良宗清の屋敷跡は、現在の足立区立千寿常東小学校)。
甲良宗清は、上野の大猷院(徳川家光)霊廟(台東区/現存せず)、護国寺本堂(文京区/国の重要文化財)、善光寺本堂(長野市/国宝)を建立した大棟梁で、元禄8年(1695年)に完了した日光東照宮の修理も宗清は手がけています。

徳川将軍の夫人廟と同様に、ほとんど現存しない側室の霊屋として、貴重な建築物になっています。

江戸東京たてもの園・旧自証院霊屋
名称 江戸東京たてもの園・旧自証院霊屋/えどとうきょうたてものえん・きゅうじしょういんおたまや
所在地 東京都小金井市桜町3-7-1 都立小金井公園内
関連HP 江戸東京たてもの園公式ホームページ
電車・バスで JR武蔵小金井駅から西武バス、小金井公園西口下車。または、関東バス三鷹駅行きで江戸東京たてもの園前、小金井公園前、スポーツセンター入口、下車
ドライブで 中央自動車道調布ICから約8km
駐車場 小金井公園第1駐車場(454台/有料)・第2駐車場(114台/有料)
問い合わせ 江戸東京たてもの園 TEL:042-388-3300
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
小金井公園

小金井公園

東京都小金井市関野町1丁目、旧小金井街道・玉川用水北側に広がる80haもの広大な都立公園が、小金井公園。日比谷公園の4.9倍、上野公園の1.5倍という広さを誇り、広々とした草地、武蔵野の面影を残す雑木林、桜の園、バーベキュー広場、テニスコー

江戸東京たてもの園・高橋是清邸

江戸東京たてもの園・高橋是清邸

東京都小金井市、都立小金井公園内にある江戸東京たてもの園・センターゾーンに移築されているのが、高橋是清邸(たかはしこれきよてい)。明治34年、高橋是清が赤坂に新築した自邸で、大蔵大臣時代に二・二六事件で暗殺されたのも、この自邸で。軍部クーデ

江戸東京たてもの園・ビジターセンター(旧光華殿)

江戸東京たてもの園・ビジターセンター(旧光華殿)

東京都小金井市、都立小金井公園内にある江戸東京たてもの園・センターゾーンにあるビジターセンターは、旧光華殿を再生したもの。光華殿は昭和15年、宮城前広場(現・皇居前広場)で行なわれた『紀元二千六百年式典』のために仮設された式殿で、昭和16年

江戸東京たてもの園・三井八郎右衞門邸

江戸東京たてもの園・三井八郎右衞門邸

東京都小金井市、都立小金井公園内にある江戸東京たてもの園・西ゾーンに移築されているのが、三井八郎右衞門邸(みついはちろうえもんてい)。麻布笄町(あざぶこうがいちょう=現・港区西麻布3丁目)に昭和27年に建てられた邸宅です。三井財閥の面影を残

江戸東京たてもの園・小寺醤油店

江戸東京たてもの園・小寺醤油店

東京都小金井市、都立小金井公園内にある江戸東京たてもの園・東ゾーンにあるのが、小寺醤油店(こでらしょうゆてん)。下町の風情を楽しむことができるという東ゾーンに移築された味噌や醤油なども扱った酒屋で、建物のなかには、当時の暮らしや商売の道具、

江戸東京たてもの園・子宝湯

江戸東京たてもの園・子宝湯

東京都小金井市、都立小金井公園内にある江戸東京たてもの園・東ゾーンにあるのが、子宝湯(こだからゆ)。下町の風情を楽しむことができるという東ゾーンに移築された昭和4年築の典型的な銭湯建築が、子宝湯で、もともとは足立区千住元町に建っていました。

江戸東京たてもの園・田園調布の家(大川邸)

江戸東京たてもの園・田園調布の家(大川邸)

東京都小金井市、都立小金井公園内にある江戸東京たてもの園・西ゾーンにあるのが、田園調布の家(大川邸)。大正14年に、当時の新興住宅地、田園調布に建てられた住宅で、居間を中心に食堂・寝室・書斎が配置されたモダンな造り。当時としては珍しい、全室

江戸東京たてもの園・万世橋交番

江戸東京たてもの園・万世橋交番

東京都小金井市、都立小金井公園内にある江戸東京たてもの園・東ゾーンにあるのが、万世橋交番(まんせいばしこうばん)。下町の風情を楽しむことができる東ゾーンに移設された交番で、正式名称は、須田町派出所。神田川に架る万世橋のたもと、神田須田町1に

江戸東京たてもの園・八王子千人同心組頭の家

江戸東京たてもの園・八王子千人同心組頭の家

東京都小金井市、都立小金井公園内にある江戸東京たてもの園・西ゾーンにあるのが、八王子千人同心組頭の家(はちおうじせんにんどうしんくみがしらのいえ)。八王子千人同心は、八王子に配備された徳川家の家臣団で、当初は八王子の治安を維持する役割を担っ

江戸東京たてもの園 デ・ラランデ邸

江戸東京たてもの園 デ・ラランデ邸

東京都小金井市、都立小金井公園内にある江戸東京たてもの園・西ゾーンにあるのが、デ・ラランデ邸。明治43年頃、ドイツ人建築家ゲオルグ・デ・ラランデ(Georg de Lalande)が、平屋建てを3階建てとして大規模に増築した洋館で、往時は新

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でニッポン旅マガジンをフォローしよう!

ABOUTこの記事をかいた人。

アバター画像

日本全国を駆け巡るプレスマンユニオン編集部。I did it,and you can tooを合い言葉に、皆さんの代表として取材。ユーザー代表の気持ちと、記者目線での取材成果を、記事中にたっぷりと活かしています。取材先でプレスマンユニオン取材班を見かけたら、ぜひ声をかけてください!

よく読まれている記事

こちらもどうぞ