東京都台東区谷中にある天台宗の寺、天王寺(てんのうじ)。谷中霊園の一画に建つのは、谷中霊園は神仏分離、廃仏毀釈以前は、境内地だったから。そんな天王寺の境内に鎮座する露座の大仏が元禄大仏と呼ばれる釈迦牟尼如来坐像。元禄3年(1690年)建立という東京23区に残る貴重な大仏のひとつ。
神田鍋町の鋳物師・太田久右衛門鋳造の大仏が現存!
神田鍋町東横町(現・千代田区鍛冶町2丁目)に住む鋳物師(いもじ)・太田久右衛門(太田正儀・おおたまさのり=太田駿河守藤原正儀)が鋳造し、像高2m96cm。
江戸時代後期の天保年間(1831年〜1845年)刊行の『江戸名所図会』にも記される大仏なので、当時からかなり有名だったことがわかります。
天王寺は江戸時代後期の天保4年(1833年)に改称された名前。
それまでは、元禄11年(1698年)に日蓮宗から天台宗へと改宗される以前からの寺名・感応寺が使われていたため、元禄大仏も感応寺時代の大仏ということに。
太田久右衛門の鋳造の仏像としては、「濡れ仏」の名で知られる浅草寺の二尊仏(観世音菩薩、勢至菩薩)が、貞享4年(1687年)、太田久右衛門の作。
巣鴨の真性寺の銅像地蔵菩薩坐像 (江戸六地蔵)も太田久右衛門の作で、実は江戸六地蔵(第1番・品川寺、第2番東禅寺、第3番・太宗寺、第4番・真性寺、第5番・霊巌寺、第6番・永代寺/永代寺のみ現存せず)のうち5体を鋳造した名工なのです(残りの1体は子の正義が鋳造)。
谷中七福神の毘沙門天を祀るので、1月1日~10日の『谷中七福神めぐり』の際には、ぜひ元禄大仏にも注目を。
墓地には初代・三遊亭圓遊(落語家)、朝倉文夫(彫塑家)、牧野富太郎(植物学者)など著名人の墓も多数。
天王寺・元禄大仏 | |
名称 | 天王寺・元禄大仏/てんのうじ・げんろくだいぶつ |
所在地 | 東京都台東区谷中7-14-8 |
電車・バスで | JR・京成電鉄日暮里駅から徒歩3分 |
駐車場 | 3台/無料 |
問い合わせ | 天王寺 TEL:03-3821-4474 |
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