東京都中央区、隅田川と日本橋川の合流地点、日本橋川河口に架るのが、豊海橋(とよみばし)。橋長46.13m、幅員8.00mで、昭和2年に竣工、関東大震災の復興事業で架橋された国内初の鋼フィーレンデール橋(梯子を横倒しにしたような外観ですが、構造上はラーメン橋に分類)。土木学会選奨土木遺産にも認定。
震災復興橋梁のひとつで、美しいフィーレンデール橋
Amazon Original『モダンラブ・東京』の第2話で主人公のふたり(榮倉奈々、柄本佑)が橋マニアとして訪れるのも、この豊海橋ですが、震災復興橋であるのと同時に、美しいフィーレンディール橋(Vierendeel bridge)だというのが選ばれた理由だと推測できます。
フィーレンディールは、考案したベルギー人アーサー・フィーレンディール(Arthur Vierendeel)の名に由来する橋で、戦前の日本では数えるほどしか架橋されていません。
隣接する隅田川の永代橋(えいたいばし=アーチ橋、大正15年12月20日竣工)との景観上のバランスを考慮して、このフィーレンデール橋が選ばれたもので、発注は復興局、設計は新潟市の萬代橋で知られる福田武雄(ふくだたけお)で、勝鬨橋、言問橋などを手掛けた横河橋梁製作所(現・横河ブリッジ)が施工。
隣接する重厚なアーチ橋の永代橋を引き立てるようなデザインということで梯子を横にしたような異色のフォルムが採用されたのです。
ライトアップされた夜は、隠れた夜景スポットで、人通りが少ないこともあってドラマのロケなどにも使われます。
一帯は江戸時代には日本橋川の河口ということで、船番所(現在の中央区新川2丁目)、橋の北詰に御船手番所(現・日本橋箱崎町)、御船蔵が配され、元禄11年(1698年)には初代の豊海橋が架橋されています(初代・歌川広重が描いた『東都名所 永代橋全図』には永代橋の横に豊海橋が描かれています)。
吉良邸への討ち入りを果たした赤穂浪士は永代橋で大川(隅田川)を渡った後、豊海橋を経て泉岳寺を目指しています。
近代的な橋としては明治36年に鉄橋(プラットトラス橋)が架けられましたが、関東大震災で落橋し、現在の豊海橋に架け替えられています。
豊海橋の北詰、IBM箱崎ビル横の園地に日本銀行創業の地であることを示す石碑が立っていますが、明治13年、イギリス人建築家ジョサイア・コンドル(Josiah Conder)設計の洋館(レンガ造り、2階建て)で日本銀行が創業したことを示しています。
豊海橋 | |
名称 | 豊海橋/とよみばし |
所在地 | 東京都中央区日本橋箱崎町19先・新川1丁目19先 |
関連HP | 中央区公式ホームページ |
電車・バスで | 東京メトロ・都営地下鉄門茅場町駅から徒歩10分 |
ドライブで | 首都高速室町ランプから約1km |
駐車場 | 周辺の有料駐車場を利用 |
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