【夏休み行きたい! 東京の異空間 01】 東京砂漠を天上山で体感!

天上山

東京を砂漠になぞらえるというレトリックは、内山田洋とクール・ファイブの『東京砂漠』(昭和51年)で不変化し、この曲はCMソングにもなっていますが、夏休みの伊豆七島の旅で、この東京砂漠を体感できるのが神津島・天上山山頂の砂漠地帯。ここぞまさしく「東京の異空間」といった雰囲気です。

伊豆七島・神津島のてっぺんは、アルプス的な景観も!

あまり知られていませんが、国土地理院の2万5000分の1地形図に「砂漠」と記されている場所も、実は東京都にあります。
これが、伊豆大島・三原山の東側に広がる裏砂漠、そしてその山麓側に続く奥山砂漠で、目下日本国内で、国土地理院が砂漠と認定するのはこの2ヶ所のみ。
伊豆大島の砂漠こそがまさに「東京砂漠」なのですが、砂漠のイメージは白い砂。
大島は火山灰などが降り積もったもので、黒みを帯びているため、「東京の異空間」ではあるものの、感動という点では神津島・天上山が勝ります。

天上山は神津島の中心に聳える火山で、最高点は標高571.8m。
標高こそ600mにも満たない低山ですが、その気候と地質から台地上になった山上には木が生えず、生えたとしても風衝低木化し、箱庭のような景観に。
北アルプスの稜線のような光景の場所もあり、眼下に大海原が広がり爽快です。

とくに東側は切り立った断崖絶壁ですが、山頂部は意外に平坦で、表砂漠、裏砂漠、水を湛えた不動池、千代池などがあり、周回することができます。
とくに表砂漠、裏砂漠は月世界を思わせるような、「異空間」。
人影もなく、動植物の姿も無いため、まさに死の世界といった感じなのです。

この天上山のふたつの砂漠、平安時代初期の承和5年(838年)の噴火で誕生した溶岩ドームに由来するもの。
天上山西縁の火砕丘と、溶岩ドームの急峻な場所(溶岩ドームの縁)からその下部には、雨水が透過しやすく、植物が生育しないため、砂漠になっているのです。
黒島登山口、白島登山道口からの登山道は、表砂漠で合流し(神津島港から徒歩2時間10分)、裏砂漠まではさらに20分ほどの距離です。

島を訪れるには5月頃もおすすめですが、多幸湾での海水浴を兼ねて、夏休みの目的地にも絶好。
天気も安定するので、東海汽船の船の揺れも少なく、調布からの新中央航空も欠航が減ります。

天上山登山は、日差しを遮るものもないので、日除け、日焼け、熱中症防止対策をしっかり施して、チャレンジを。
なるべく、島内に宿を取り、早朝に登るのがいいでしょう(午後は海水浴)。

天上山
上昇気流で霧(ガス)がかかると天然クーラーでかなり涼しい(典型的な地形雲)
【夏休み行きたい! 東京の異空間 01】 東京砂漠を天上山で体感!
所在地 東京都神津島村天上山
場所 天上山
関連HP 神津島観光協会公式ホームページ
電車・バスで 神津島港から黒島登山口まで徒歩40分
問い合わせ 神津島観光協会 TEL:04992-8-0321/FAX:04992-8-0323
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
天上山

天上山

東京都神津島村、標高571.8m、神津島の最高峰が天上山。山頂部には、眺望の良い天空の丘、黒島展望山、花崗岩の砂礫が堆積し荒涼とした表砂漠、裏砂漠、火口原に雨水がたまってできた千代池、不動池、ババア池、さらには異国人到来に備えたオロシャの石

天上山・表砂漠

天上山・表砂漠

東京都神津島村、神津島の中央にそびえる天上山(標高571.8m)。山上には平安時代初期の承和5年(838年)の噴火で誕生した溶岩ドームに由来する2つの砂漠地帯があり、少し小さい方の砂漠が表砂漠です。黒島登山口、白島登山道口からの登山道が合流

天上山・裏砂漠

天上山・裏砂漠

東京都神津島村、神津島の島の中央にそびえる天上山。標高は標高571.8mとさほどではありませんが、御蔵島(みくらじま)の御山と並び、登山愛好家を虜(とりこ)にする魅力あふれる山です。その山上にあるのが不思議な景観を醸し出す裏砂漠。5月中旬〜

天上山・千代池

天上山・千代池

東京都神津島村、神津島の中央にそびえる天上山(標高571.8m)。山上の北側は平安時代初期の承和5年(838年)の噴火活動で火口から噴出した軽石や火山灰が堆積した火砕丘が主体の白島、南側が溶岩ドーム群の黒島ですが、黒島にある火口湖で、地形図

天上山・不動池

天上山・不動池

東京都神津島村、最高峰で標高571.8mながら、洋上のアルプスともいえる特異の景観を展開する天上山。島の大部分が天上山(山岳地帯)ですが、その山上で最大の池が不動池です。信仰の対象ともなり、中島にクラカラ剣と石の龍王が祀られていますが、近年

多幸湾

多幸湾

東京都神津島村、神津島随一、伊豆七島屈指ののダイナミックな景観を誇るのが、島の東側にある多幸湾。背後には島の最高峰・天上山から一気に落下する、高さ500mの断崖が迫り、砂浜、青い海、松の茂る丸島と、白い断崖のコントラストが見事。夏期には多幸

神津島空港

神津島空港

東京都神津島村、神津島南端部の台地の上に滑走路が伸びるのが、神津島の空の玄関口、神津島空港。東京の調布飛行場からの新中央航空の双発ターボプロップ旅客機(旅客定員19名)が発着しています。天上山を眺めながら、航空母艦にふわりと着陸する感じで、

東京砂漠

日本で唯一の砂漠が東京に! 東京砂漠 全5ヶ所ガイド

国土地理院の地形図に、「砂漠」と記載されているのは、東京都大島町(伊豆大島・三原山)の裏砂漠と奥山砂漠の2ヶ所のみ。裏砂漠を筆頭に、伊豆大島には表砂漠、奥山砂漠、そして神津島の天上山に表砂漠、裏砂漠があり、合わせて東京都下に5ヶ所の東京砂漠

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でニッポン旅マガジンをフォローしよう!

よく読まれている記事

こちらもどうぞ