11月6日「松葉ガニ」解禁! 味わう穴場は鳥取県だ

11月6日、いよいよズワイガニ(松葉ガニ)漁が解禁となります。松葉ガニの漁期は翌年3月20日まで。ズワイガニの水揚げ高は、鳥取県が全国一。「蟹取県」の愛称をPRする鳥取県は、京阪神から離れている分、他県より安いというウワサも・・・。鳥取県内の宿、味処でも11月〜2月は、蟹をメインにしています。

鳥取県のカニはどうして安くて旨い!?

ズワイガニの初競り
ズワイガニの初競りの様子(2023年11月7日)

農林水産省の省令によって海域ごとに禁漁期間が定められ、海域A(島根~富山の日本海沖)3月21日~11月5日、海域B(新潟~青森の日本海沖)6月1日〜9月30日、海域C(北海道の日本海沖)5月1日〜10月31日となっています。

つまり、松葉ガニ以外の有名なブランドガ二(加能ガニ、越前ガニ、津居山ガニ、香住ガニ、間人ガニなど)も海域Aに属するので、解禁日はいずれも11月6日ということに。

ズワイガニのうち、成長した雄を「松葉ガニ」で、鳥取県松葉がにPR推進協議会では、松葉ガニが安定して漁獲される11月第4土曜日を「松葉がにの日」と制定、鳥取市や岩美町など鳥取県内の漁港では楽しいイベントが開催されています。

松葉ガニといえば京都府北部の京丹後市・浅茂川漁港、兵庫県北部の柴山港などが有名ですが、鳥取県のカニの水揚げ量は全国でも一二を争うトップクラス。
しかも京阪神から少し遠い分だけ、実は、お得に味わえるのです。

「緑のタグが丹後半島の間人(たいざ)ガニ、青のタグが兵庫県の津居山ガニ、白色のタグが兵庫県の香住ガニ、黄色のタグが福井県の越前ガニと他県ではブランド化が進んでいます。それに比べて鳥取は少し出遅れて・・・」
と漁業関係者は嘆くのですが、逆にカニ好きにとってはうれしい情報。

「鳥取県民は商売が下手。カニもその分、他県より安く味わえるので、おみやげも購入すれば往復の旅費が浮くケースも」とは、事情通の解説。
「甲羅に黒い粒が付いている松葉ガニは、最終脱皮して十分成長した証し。これが目印」とアドバイスしてくれます。

松葉ガニ初水揚げの風景。旅館などに安定価格で入るのは11月10日頃から

鳥取市は「松葉ガニ」の名称発祥の地

ブランド化に遅れをとった鳥取県ですが、
「2015年、松葉ガニの中でも目利き人の厳しい目で選別された特に高品質なものを『特選とっとり松葉がに五輝星(いつきぼし)』と名付けブランド化しました」(鳥取県食のみやこ推進課)と、ついに鳥取県が動きを・・・。

五輝星の特徴は、甲幅13.5cm以上、重さ1.2kg以上、脚がすべて揃っていて、色味が鮮やかでかつ身が詰まっている松葉カニ。
産地の港に行けば、脚が1本もげているから格安なんて掘り出し物も期待できます。

歴史的にも弘化2年(1845年)に記された鳥取藩の『町目付日記』11月13日の項で、若桜町御用座敷建て替えの際、棟上げ祝宴に出された献立のメニューに「松葉蟹」の記載があります。

さらに天明2年(1782年)、鳥取藩士の御右筆山田左平太が、諸大名家や藩士への贈答品の事例を書き留めた覚書(山田家資料)に12月5日に津山藩主松平越後守に「松葉蟹五枚」を送ったことが記されています。
近年発見された山田家資料の記述ですが、遅くとも江戸時代中期には贈答品として松葉ガニが珍重されていたことを示す貴重な資料です。
実はこれが、松葉ガニという名前の初見で、それにより鳥取市は「松葉ガニの名称発祥の地」ということに。
賀露港(鳥取港)は江戸時代初期に開港した歴史ある港。そこで揚がったズワイガニを松葉ガニと名付けたと推測できます。

越前ガニや間人ガニ(たいざガニ)ほどのブランド力はまだありませんが、鳥取県漁連では伝統工芸品である「因州和紙」にカニ殻から生成される「キトサン」を配合した「とっとり松葉がに」のブランドタグを使っています。
ブランド力で劣る故に、値段的にも越前ガニや間人ガニに比べてお得ということもあり、通(つう)は水揚げ高日本一といわれる境港や岩美町などに買い求めに出向くのです。

特選とっとり松葉がに五輝星
特選とっとり松葉がに五輝星

覚えておきたい松葉ガニの旬とベニズワイ

松葉ガニ=11~3月(ズワイガニの雄。鳥取県の冬の味覚の王者、甲羅に黒い粒が付いているカニは、最終脱皮して十分成長した証。販売価格は高め)

松葉ガニ

親ガニ=11~12月(ズワイガニの雌。濃厚な味わいの内子とプチプチとした食感の外子。かに味噌はコクがあり、旨味が豊富。地元では家庭の味としてかに汁で食べることが多い)

これが親ガニ
これが親ガニ
鳥取県東部ではポピュラーな「親ガニ汁」
鳥取県東部ではポピュラーな「親ガニ汁」

若松葉ガニ=1月~2月(脱皮直後の松葉ガニ。松葉ガニと比較すると身入りは少ないのですが、殻が柔らかく身離れがよいので食べやすく、価格も比較的リーズナブル)

そんな鳥取県ですが東部では親ガニ(松葉ガニのメス)、西部では紅ズワイガニと人気のカニが異なります。
ベニズワイガニは松葉ガニよりも少し小ぶりで値段もリーズナブルですが、「傷みが早く県東部まで流通しません」。エコノミーに済ませたいなら9月から6月が旬のベニズワイもおすすめです。
「とくに茹でガニは味が濃厚で、カニの味を満喫できます」(鳥取県観光連盟)。

鳥取県西部で人気のベニズワイ
鳥取県西部で人気のベニズワイ
11月6日「松葉ガニ」解禁! 味わう穴場は鳥取県だ
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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