富山県中新川郡上市町にある農業用水を公平に分配するための円形分水工が、釈泉寺円筒分水槽(しゃくせんじえんとうぶんすいそう/上市川沿岸土地改良区円筒分水場)。昭和29年、上市川の扇頂部に建設された、直径9.3mの円筒分水工(円筒分水槽)で、国の登録有形文化財に指定されています。
上市川を水源とする農業用水をサイフォンを使って公平に分配
上市川を水源とする農業用水は、戦後13ヶ所あり、豪雨のたびに氾濫や取水口の流失に悩まされ、さらに渇水時には水の利権争いが絶えず、地域では「水の争奪を巡って血の雨を降らす」といわれるほどの紛争の種でした。
こうした状況を受けて用水改良事業が行なわれ、共通間線路と円筒分水工(円筒分水槽)が整備されたのです。
上市川沿岸土地改良区が所有し、共通間線路の水は、サイフォン形式で円筒部分に湧き上がり、溢れた水を0.51対0.49の高精度で左岸、右岸の幹線水路に分配。
542haの農地に水を供給しています。
釈泉寺円筒分水槽と水は、「とやまの名水」、「とやまの近代歴史遺産百選」にも選定。
上市川左岸にあり、到達できる道路は狭く、ぬかるむことが多いため、注意が必要。
トイレもないため、眼目山立山寺、丸山総合公園、里山の駅つるぎの味蔵のトイレの利用を。
富山県内には富山県内には釈泉寺円筒分水槽のほかに、東山円筒分水槽(魚津市)、貝田新円筒分水槽(魚津市/片貝川の左岸)、赤祖父円筒分水漕(南砺市)、氷見市土地改良区鞍川工区円筒分水(氷見市)の5ヶ所の円筒分水工(円筒分水槽)があり、赤祖父円筒分水漕(南砺市)と片貝川東山円筒分水槽(魚津市/日本で最も美しいと評される円筒分水)、釈泉寺円筒分水槽が国の登録有形文化財に指定されています。
ちなみに円筒分水とは、農業用水を正確に一定の割合で配分するため施設。
サイフォンの原理で円筒状構造物の中央部から水を流出し、外周部に流すシステムで、大正年間に考案され、昭和初期に吹き上げ式の円筒分水が造られるように。
赤祖父円筒分水漕(昭和24年)が富山県では最初の設置です。
釈泉寺円筒分水槽 | |
名称 | 釈泉寺円筒分水槽/しゃくせんじえんとうぶんすいそう |
所在地 | 富山県中新川郡上市町釈泉寺向川原50-53 |
関連HP | 上市町観光協会公式ホームページ |
ドライブで | 北陸自動車道立山ICから約9km |
駐車場 | 3台/無料 |
問い合わせ | 上市町産業課 TEL:076-472-1111 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
最新情報をお届けします
Twitter でニッポン旅マガジンをフォローしよう!
Follow @tabi_mag