赤祖父溜池

赤祖父溜池

富山県南砺市、赤祖父川の水を堰き止め、農業用水の確保のために昭和20年に完成したのが、赤祖父溜池(あかそふためいけ)。地元では赤祖父湖と呼ばれる美しい人造湖で、下流側には溜池の水を公平に分配するための赤祖父円筒分水漕(昭和24年完成、国の登録有形文化財)があります。

農林水産省のため池百選にも選定

赤祖父川の上流のブナの森(70ha)などのに原生林は、藩政時代以降、水持林(現在の水源涵養保安林)として保護され、育まれた水は下流の600haの農地を潤してきました。

赤祖父川沿いには、左岸14ヶ所、右岸20ヶ所もの用水の取り入れ口があり、慢性的な水不足状態に悩まされ、干魃時には水争いが絶えない土地でした。
こうした水争いを解消するため、昭和7年9月、県営赤祖父郷用水補給事業溜池築造工事が起工されましたが(総工事費25万円、負担割合は国費50%、県費20%、地元30%で3ヶ年の予定での県営事業)、第二次世界大戦の戦時下ということもあって、工事は進展せず、13年を費やして昭和20年にようやく完成したのが赤祖父溜池です。

溜池の堤防の盛り土には土取り場からの運搬に手押しのトロッコを使い、堤体の搗き固め作業には女性の労働者7800人が動員され、村の女性たちが「タコ」とよばれる道具を使って堤体を突き固めました。

昭和24年に溜池の水(赤祖父幹線水路)を公平に分配し、大川筋用水、一の用水、二の用水に流すために直径3.05mの赤祖父円筒分水漕が築かれ、これが富山県では最初の設置となる円筒分水漕(円筒分水工)。
こうして長年に渡る水争いは解消されたのです。

赤祖父溜池にはヘラブナ、鯉、マブナ、ワカサギ、モロコなどが、周辺の森はカモシカも生息する自然環境が保全され、人造湖とは思えない美しさがあります。

富山県でため池百選に選定されるのは、同じ南砺市の東海北陸自動車道城端サービスエリアに隣接する桜ヶ池の2ヶ所だけ。
現在の南砺市一帯がいかに水不足、水争いに悩まされたのかがよくわかります。

赤祖父溜池
名称 赤祖父溜池/あかそふためいけ
所在地 富山県南砺市川上中
関連HP 富山県公式ホームページ
ドライブで 東海北陸自動車道福光ICから約5.5km
問い合わせ 富山県農林水産部農村整備課 TEL:076-444-3375/FAX:076-444-3437
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
赤祖父円筒分水漕

赤祖父円筒分水漕

富山県南砺市、赤祖父溜池(赤祖父湖)の下流側にあるのが、赤祖父円筒分水漕(あかそふえんとうぶんすいそう)。赤祖父溜池工事の一環として、農業用水を公平に分配するため建設された富山県内最古の円筒分水工(円筒分水槽)で、昭和24年の完成。国の登録

桜ヶ池

桜ヶ池

富山県南砺市、東海北陸自動車道城端サービスエリアの横にある農業用の溜池が、桜ヶ池。農林水産省のため池百選にも選定される池で、池の畔には「桜ヶ池クアガーデン」が整備され、レストラン、温泉、温泉プール、エステ、宿泊施設が高速道路を降りることなく

 

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