遠く離れた富士山が海面から浮かび上がったように見える「浮き富士」。秋から冬の放射冷却で生まれる上位蜃気楼によるもので、三重県志摩市のカメラマン・泊正徳(とまりまさのり)さんの命名。伊勢志摩では秋冬の澄んだ空気の朝、200kmほど離れた富士山を視認できますが、条件が揃うと富士山が浮いて見えるのです。
蜃気楼の一種で遠く離れた富士山が浮いて見える!
冷気層の下に、温かな海面からの暖気層が生まれ、その空気の屈折率の違いで、富士山が浮いて見えるのが「浮き富士」(津地方気象台も同様の見解です)。
浮島現象とも呼ばれ、「浮き富士」の命名者・泊正徳さんによれば、鳥羽市相差町~志摩市大王町波切の障害物がない海岸が撮影に絶好の地ということに。
温暖化によって、温かな海が晩秋にも残るため、放射冷却(寒気の張り出しによる上空の冷えた空気)、温かな海面とその上の空気という温度差が生まれやすい環境なので、今後は上位蜃気楼の「浮き富士」が増えるかもしれません。
実は西伊豆でも駿河湾越しに「浮き富士」となることもありますが、気象庁によれば、2024年11月には「熊野灘に暖水が波及しやすい海況」、「熊野灘沿岸の水温は高め基調で推移し、暖水の影響が強まった時には、かなり高めとなることもある」とのことなので、やはり伊勢志摩の確立が高いのかもしれません(駿河湾は寒流の親潮の影響を受けることがあります)。
志摩では二見浦の夫婦岩の間から、6月10日~15日、6月28日~7月2日の間(閏年などで変化します)、富士山と日の出が重なる「王冠富士」(ダイヤモンド富士)も期待できますが、梅雨時と重なり、湿度もあって、なかなか目にすることができないのだとか。
伊勢志摩に「浮き富士」シーズンが到来! | |
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