奇絶峡

奇絶峡

和歌山県田辺市の中心を流れる会津川の上流、龍神温泉に通じる街道沿いの右会津川に2kmに渡って続く美しい峡谷が、奇絶峡(きぜつきょう)。吉野熊野国立公園に指定される峡谷には、奇岩怪石が点在し、滝見橋の上などから見学できます。

南方熊楠がその保護を訴えた峡谷

奇絶峡はもともとは川中の奇勝と呼ばれていましたが、明治時代後期に漢学者たちにによって奇絶境と呼ばれるようになったもの。
不動明王を祀る不動滝(赤城滝)や、その上にある地上100mの岩肌に堂本印象の原画をもとに彫られた三尊磨崖仏、巨人の足跡が刻まれたという大足跡石は必見。

和歌山の生んだ博物学者で、自然保護運動の先駆者でもある南方熊楠(みなかたくまぐす)は、『南方二書』(南方熊楠が松村任三東京大学教授へ宛てて明治44年8月にしたためた書簡2通を柳田國男が活字化したもの)で、「田辺から二里ばかり、耶馬渓そこのけという絶景の地なり。希植物多し。これも、何のわけもなく道路作るとて破壊はなはだしく、また石を伐り出すゆえ、地質学、考古学上の参考たるべき大足跡石など、まさに亡びんとす。」と奇絶峡を高く評価し、道路建設など開発による破壊を憂いています。

また、柳田國男宛の書簡でも「前書申し上げし奇絶峡という風景絶可の渓を、只今六万円の大工事を起こし、岩石をきり、樹木を損じ、炭薪を運ぶ道を作りおり。この道成らば上秋津村という村大繁盛すべしという。これは郡吏等留任継続のためのことにて、村民の負担重くなり、また実際そんな道作りて不断炭薪を出すほどの樹林もなく、実につまらぬことに候」と、道路開発による恩恵説に懐疑的だったことがわかります。

奇絶峡は、神島、鬪雞神社、須佐神社、伊作田稲荷神社、継桜王子、高原熊野神社、龍神山、八上神社、田中神社、九龍島、金刀比羅神社、天神崎とともに南方熊楠ゆかりの国の名勝「南方曼陀羅の風景地」に指定されています。

奇絶峡
名称 奇絶峡/きぜつきょう
所在地 和歌山県田辺市秋津川
関連HP 田辺観光協会公式ホームページ
電車・バスで JR紀伊田辺駅から龍神バス龍神温泉・前平行きで25分、奇絶峡下車、すぐ
ドライブで 阪和自動車道南紀田辺ICから約7km
駐車場 10台/無料
問い合わせ 田辺観光協会 TEL:0739-26-9929/FAX:0739-22-9903
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

 

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