和歌山県岩出市根来(ねごろ)にある歴史的建造物が旧和歌山県議会議事堂。明治29年、和歌山県議会議事堂として建てられたもので、昭和37年に根来寺境内に移築され、大講堂・客殿に転用。平成24~27年度の保存整備事業によって、建築当初の姿に復原。平成28年に現在地(道の駅ねごろ歴史の丘の横)に移設され公開となったもの。国の重要文化財。
木造建築としては日本で最古の県会議事堂建築
和歌山県は明治31年9月に郡制が敷かれ、明治32年9月に一般選挙が行なわれています。
このときの議員の定数はわずか30人でした。
県議会開設に伴い、3万4200円余を投じて和歌山市六番丁の集産場跡に建築された議事堂が現存する旧和歌山県議会議事堂です。
間口31m、奥行47m、木造2階建て、一部平屋、瓦葺き屋根の重厚な建物。
洋風意匠の建物ですが、壁を漆喰壁、腰に下見板、そして屋根も瓦葺きにするなど随所に和の要素が取り込まれています。
昭和13年に議場を備えた現在の和歌山県庁舎が完成して、現役を引退しています。
現存する木造の県会議事堂としては国内最古となる建物で、当初呼ばれていた「一乗閣」の名は、当初の移築先の一乗山根来寺の名に由来(根来寺の大講堂・客殿として移築されたため)。
正面側から本館、議場、控室の各部に分かれ、本館には接見室、議長室、議員休憩室などが設けられていました。
正面に床の間を設置し、上部には彫刻飾りを設けた唐破風が付くという和風を取り入れた議場で、その周囲を土間廊下が取り囲み、2階部分には傍聴席が。
控室には高等官控所、参事会員室、県庁員控所がありました。
和歌山県議会議事堂時代の明治44年8月には夏目漱石が「現代日本の開化」のテーマで講演を行なっています。
これは、西洋の文明開化が内発的であるのに対し、明治日本の文明開化は外発的で皮相的(うわべだけで不十分)であると論じた講演で、「日本近代思想史の記念碑」とも称されています。
また、平成28年6月2日に開会した和歌山県議会6月定例会は、国内最古の建物のPRを目的として、この一乗閣(旧和歌山県議会議事堂)で開催。
明治時代築の県会議事堂は3ヶ所に現存!
明治16年築の新潟県会議事堂として建てられた新潟県政記念館が、現存する最古の県会議事堂。
明治の府県会開設期における現存唯一の議事堂の遺構となっています。
議事堂を併設した京都府庁旧本館が明治37年で旧和歌山県議会議事堂に次ぐ歴史を有していますが、旧新潟県会議事堂とともに木造建築ではなく、木造でということでいえば旧和歌山県議会議事堂が現存最古ということになります。
旧和歌山県議会議事堂 | |
名称 | 旧和歌山県議会議事堂/きゅうわかやまけんぎかいきじどう |
所在地 | 和歌山県岩出市根来2170 |
関連HP | 岩出市公式ホームページ |
電車・バスで | JR岩出駅から岩出市巡回バスで15分、ねごろ歴史の丘下車 |
ドライブで | 京奈和自動車道岩出根來ICから約1km |
駐車場 | 道の駅ねごろ歴史の丘駐車場(76台/無料) |
問い合わせ | 道の駅ねごろ歴史の丘 TEL:0736-61-1160 |
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