和歌山県和歌山市にある和歌山県庁本館。和歌山県庁には、本館、北別館、東別館、警察本部庁舎(西別館)、南別館(防災センター)がありますが、そのうち本館(本庁舎)は、昭和13年4月完成のレトロな建物。鉄筋コンクリート造り、地上4階、地下1階で、設計は増田八郎(ますだはちろう)。
和歌山県を代表する近代洋風建築は登録有形文化財
増田八郎は、昭和8年8月、現存する富山県庁舎建設のために富山県に技師として赴任。
設計者の大熊喜邦のもとで設計監督を務め、昭和10年に富山県庁が完成すると、大熊喜邦の紹介で和歌山県庁舎の建設(明治維新以降3代目の県庁舎)に携わっています。
関東大震災を教訓に、非常時でも機能できるような耐震性の高い建物を目指したため、東京帝国大学教授で建築学会会長の内田祥三博士(日本のRCと鉄骨構造の開拓者)が監修、内田ゼミの大学院生だった坪井善勝が構造設計を担当しています。
日中戦争による鉄材の高騰、労力不足もあって建設には困難が多かったとも推測できます。
藤岡長和知事と和歌山県出身の行政建築家・松田茂樹技師の基本計画で、意匠は国会議事堂をモデルにすることが決まり、富山県庁の設計を行なった増田八郎が設計しているので、外見はかなり富山県庁にかなり似ています。
富山県庁は、国会議事堂の設計を担当した大蔵省営繕管財局工務部長・大熊喜邦の意匠デザインなので、必然的に和歌山県庁も似た意匠になったのでしょう。
玄関前に庭園を配し、庭園から正面玄関への車寄せへと回り込んで入館する仕組み。
玄関床は御影石、花壇はテラコッタ(大判の素焼きタイル)を使うという洒落た設計です。
正面玄関の車寄せ部分のひさし回り、窓、出入り口の額縁など随所にテラコッタが配されています。
正面玄関を入った中央階段踊り場の壁には、和歌山県出身の彫刻家・保田龍門(やすだりゅうもん)作のセメント製レリーフが飾られ(2階『丹生都比売命』、3階『高倉下命』)、知事室にはチーク材の腰壁と大きな暖炉を備え、風格ある雰囲気に仕上がっています。
戦後まもなく昭和天皇が和歌山県を行幸した際には、知事室に宿泊。
本館3階の中央には議場が配され、和歌山県議会はここで開かれています。
昭和20年の和歌山大空襲の焼失を免れた和歌山県庁は、和歌山県を代表する近代洋風建築として、国の登録有形文化財に指定。
和歌山県庁本館地下1階には食堂「信濃屋」が営業し、外来利用ももちろん可能。
「地元産の食材を積極的に活用する」という目標があるので、ジビエ料理などを提供することもあり、旅行者の立ち寄りにもおすすめできます。
画像協力/和歌山県広報課
和歌山県庁本館 | |
名称 | 和歌山県庁本館/わかやまけんちょうほんかん |
所在地 | 和歌山県和歌山市小松原通1-1 |
関連HP | 和歌山県公式ホームページ |
電車・バスで | JR・南海和歌山市駅から徒歩20分 |
ドライブで | 阪和自動車道和歌山ICから約6km |
問い合わせ | 和歌山県庁 TEL:073-432-4111 |
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