日本三名泉発祥の地碑

日本三名泉発祥の地碑

岐阜県下呂市湯之島、下呂温泉街にあるロマネスク風外観の日帰り入浴施設が、白鷺乃湯(しらさぎのゆ)。下呂温泉に温泉を配当する下呂温泉株式会社の経営する共同湯ですが、その玄関前にある「ビーナスの足湯」横に立つのが、日本三名泉発祥の地碑です。

下呂温泉が日本三名泉であることを示す記念碑

ビーナスの足湯

三名泉という言葉は、室町時代、近江国(滋賀県)出身の禅僧・万里集九(ばんりしゅうく)が永正3年(1506年)に完成させた7巻8冊の漢詩文集の東国旅行記『梅花無尽蔵』(ばいかむじんぞう)で、草津温泉、下呂温泉、有馬温泉の三温泉が「霊湯の最者」(最もすぐれている温泉)としたのが始まり。

万里集九は、延徳元年(1489年)と延徳3年(1491年)に下呂温泉に入湯しており、『梅花無尽蔵』には「予在飛之温泉、温泉所在日益田郡下櫓郷」と下呂温泉に滞在したことを記した上で、「本邦六十余州、毎州有霊湯、其最者下野之草津、津陽之有馬、飛州之湯島三処也」(日本国内の60余州では、各国に温泉があるが、その中でも最もすぐれているのは下野国の草津、摂津国の有馬、飛騨国の湯島の3ヶ所)としているので、室町時代から草津温泉、下呂温泉、有馬温泉が天下に名だたる温泉地だったことがわかります。
ただし、本来は「上野之草津」(草津温泉は上野国=こうずけのくに、現在の群馬県です)であるべきところを「下野之草津」(下野国=しもつけのくには現在の栃木県)とするなど、西国出身の禅僧だけに地理的な正確性には欠けています。

その後、江戸時代に林羅山(はやしらざん)も詩『林羅山詩集第三西南行日録』の有馬山温湯の中で「我國諸州多有温泉其最著者摂津之有間下野之草津飛騨之湯嶋是三處也」と、草津、下呂、有馬を「天下の三名泉」と追認したことで、定着しました。
ただし、林羅山も、西国の出身で、本来は「上野之草津」であるべきところを「下野之草津」とするなど、地理的な正確性には欠けていますが、逆に『梅花無尽蔵』をそのまま追認した結果なのかもしれません。

万里集九の像と林羅山の像が白鷺橋に立っているほか、白鷺乃湯に日本三名泉発祥の地碑が立てられ、下呂温泉が日本三名泉であることを今に伝えています。
あえて「日本三名泉の碑」ではなく、「日本三名泉発祥の地」としたのは、「予在飛之温泉、温泉所在日益田郡下櫓郷」という下呂温泉に滞在したことで生まれたことを強調しているのだと推測できます。

日本三名泉発祥の地碑
名称 日本三名泉発祥の地碑/にほんさんめいせんはっしょうのちひ
所在地 岐阜県下呂市湯之島856-1
関連HP 下呂温泉観光協会公式ホームページ
電車・バスで JR下呂駅から徒歩15分
ドライブで 中央自動車道中津川ICから約53km。または、高山清見道路(中部縦貫自動車道)高山西ICから約59km
駐車場 中央駐車場(70台/1時間まで無料、以降有料)
問い合わせ 下呂温泉観光協会 TEL:0576-24-1000/FAX:0576-23-0071
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
日本三名泉

日本三名泉とは!?

温泉のベスト3を表す、日本三名泉。江戸時代初期の儒学者で歴史書『本朝通鑑』を著すなど博物学者的な資質のあった林羅山が選んだ三名泉が草津温泉(群馬県草津町)、下呂温泉(岐阜県下呂市/当時は下呂ではなく湯島と表記)、そして有馬温泉(兵庫県神戸市

温泉寺

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下呂温泉噴泉池

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白鷺乃湯

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ビーナスの足湯

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岐阜県下呂市湯之島、下呂温泉街にあるロマネスク風外観の日帰り入浴施設(下呂温泉に温泉の配湯を行なう下呂温泉株式会社が運営)が、白鷺乃湯(しらさぎのゆ)。その玄関に造られた無料で入浴できる足湯が、ビーナスの足湯。外観に合わせ、円形の縁台の中心

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