日本で最大の遊水地は、なんと東京ドーム700個分の巨大さ!

渡良瀬遊水地

洪水時に河川の流水を一時的に貯め、下流の氾濫、洪水を防ぐ土地が、遊水地(ゆうすいち)。関東でいえば荒川、関西でも寝屋川、淀川上流などに設けられていますが、日本最大の遊水地は、栃木県、茨城県、群馬県、埼玉県の4県にまたがる渡良瀬遊水地で、大きさは東京ドーム700個分もあります。

3つの調整池は「日本一大きなハート」

もともとは、足尾銅山から渡良瀬川に流れ出た鉱毒を沈殿させるための沈殿池として、当時の谷中村を強制廃村にして大正7年に誕生したもの。

昭和38年〜平成10年に、全体を堤防で包み込むという工事が行なわれ、第1調整池、第2調整池、第3調整池という3つの調整池が誕生しました。
第1調整池内にある湖が、旧村名を冠した谷中湖です。

総面積は3300haで東京国際空港(羽田空港)の2倍、東京ドームの702倍という大きさを誇っています。
令和元年東日本台風の際には、利根川の栗橋水位観測所で氾濫危険水位(8.9m)を上回る9.61mを観測。
渡良瀬遊水地では過去最大量となる1.6億立法メートルの水を貯水し、下流の江戸川などの氾濫を防ぎ、首都圏の洪水防止という役割を果たしています。
1.6億立法メートルを貯めることで、利根川の水位は1.6mも下がったことになり、もし渡良瀬遊水地がなかったら、首都圏は水浸しだったと推測できるのです。

通常は湿地帯となっていて(本州以南最大の湿地)、ラムサール条約(特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約)の登録湿地にもなっています。

普段はのどかな水郷風景が広がる渡良瀬遊水地ですが、首都圏を洪水から守るという機能は、今後さらにその重要性を増すのだと推測できます。

発芽した若いヤナギなどを焼くことにより、大きな樹林になることを防ぐ、冬場に枯れヨシの中で越冬し、周辺地域の農作物に被害を及ぼす病害虫を駆除、地域の特産品であるヨシズなどの材料となる良質なヨシを育てるなどの目的で、毎年3月初旬に「ヨシ焼き」が行なわれています。

ちなみに渡良瀬遊水地にある3つの調整池は、空から見るとハート形をしていますが、「日本一大きなハート」と呼ばれています。
計画では、丸型に造成する予定の谷中湖でしたが、谷中村の跡を残し、池に沈めないようにしたところ、偶然にも、このハート型になったのだとか。

渡良瀬遊水地
毎年3月初旬には「ヨシ焼き」も
日本で最大の遊水地は、なんと東京ドーム700個分の巨大さ!
所在地 栃木県栃木市、小山市、野木町、茨城県古河市、群馬県板倉町、埼玉県加須市
場所 渡良瀬遊水地
関連HP 渡良瀬遊水地公式ホームページ
電車・バスで 東武日光線柳生駅から徒歩10分で中の島
ドライブで 東北自動車道館林ICから約9km、羽生ICから約15km
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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