山形県の北端、山形県飽海郡遊佐町(ゆざまち)、遊佐吹浦の岩場に十六羅漢が刻まれたのが十六羅漢岩。複雑な海岸線は、10万年前に鳥海山の噴火で流れ出た溶岩が冷え固まり、浸食されてできたもので、鳥海山・飛島ジオパークの文化サイトになっています。一方で海の難所としても知られており、海難事故が絶えなかった地です。
海の難所に刻まれた磨崖仏群
地元、海禅寺(現・遊佐町吹浦横町54)の住職・大法寛海(たいほうかんかい)和尚が、潮流の関係で羅漢岩付近に水死体が漂着するため航海の安全と海難事故で命を落とした漁師たちの供養のため、作仏を発願。
托鉢(たくはつ)のために、遠く酒田まで足をのばしています。
元治元年(1864年)〜明治元年(1868年)にかけ、2両ほどを集めると一仏を刻し、高瀬村や酒田の石工とともにこの磨崖仏群を彫り上げています。
古くからの名所旧跡が多い遊佐にあって、年代的には新しいものですが、中央に聳える最大の釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)を中心に、普賢菩薩(ふげんぼさつ)、文殊菩薩(もんじゅぼさつ)の三尊、観音、舎利弗(しゃりほつ)、目蓮、十六羅漢の22体が天然の岩場に刻まれている様は、実に壮観。
毎年、海水浴シーズンとあわせて夜間はライトアップを実施。
平成18年に、水産庁の「未来に残したい漁業漁村の歴史文化財百選」にも選ばれています。
十六羅漢岩の南側磯場には、「出羽二見」と呼ばれ、伊勢の二見岩に似た夫婦岩があり、注連縄(しめなわ)が掛けられています(5月と8月に夫婦岩の間に夕陽が沈みます)。
また、近くにある吹浦港は、夏の岩牡蠣(いわがき)で有名。
鳥海山の豊富なミネラルを含んだ伏流水が海底に湧き出し、岩牡蠣の餌となるのプランクトンが大量に発生、大きくぷっくりとした岩牡蠣が育つのです。
素潜り漁で捕獲されますが、6月〜8月中旬が旬となります。
この時期、吹浦に来たなら、道の駅鳥海ふらっと内の漁協女性部「元気な浜店」(自分で選んでその場で生食できます)などで、ぜひ天然物の岩牡蠣の賞味を。
十六羅漢岩 | |
名称 | 十六羅漢岩/じゅうろくらかんいわ |
所在地 | 山形県飽海郡遊佐町飽海郡 |
関連HP | 遊佐町公式ホームページ |
電車・バスで | JR吹浦駅から徒歩15分 |
ドライブで | 日本海東北自動車道酒田みなとICから約15km |
駐車場 | 100台/無料 |
問い合わせ | 遊佐町企画課観光物産係 TEL:0234-72-5886 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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