山形県米沢市、山形大学工学部のキャンパス内に建つのが、旧米沢高等工業学校本館。明治43年、米沢市が「染織学科を主科目」とする官立の高等工業高校の創設を誘致して設立された米沢高等工業学校の本館で、国の重要文化財、経済産業省の近代化産業遺産に認定されています。
両翼94mに及ぶ大規模な洋館は、国の重要文化財
米沢市は、山形県南部、置賜(おきたま)地方の中心として、明治22年、日本で最初に市制を施行した31市のひとつ。
明治時代後期、全国各地で盛り上がった高等工業高校の誘致運動のなか、米沢織(米織)、米沢紬など染織産業の長い歴史を持つ米沢は、熱心な誘致活動を展開し、米沢高等工業学校を設立したのです(全国7番目の高等工業学校)。
ルネッサンス様式を基調とする木造2階建ての校舎は、中央部分1階に、事務室と応接室、2階が校長室、応接室、会議室で、胴屋部分が教室。
中央正面の両翼に小塔形の角屋があるのは、階段室です。
中央玄関には車寄せを配した、エレガントな建物で、明治時代後期に建築された一連の高等工業高校の遺構として、学校建築史上でも貴重なもの。
設立時は本科(修業年限3年)に染織科(色染分科・機織分科)、応用化学科を設置。
大正4年には、米沢高等工業学校講師・秦逸三が、休業中の米沢製糸場を買い取り、東工業米沢人造絹糸製造所を創立。
大正7年に帝国人造絹絲株式会社と改称していますが、これが帝人(本店、本社は大阪市北区)の始まりです。
昭和24年5月31日、国立学校設置法により、山形大学工学部となり、昭和48年に国の重要文化財になったことから、現在は資料館として公開されています。
展示室は、高等工業学校、工業専門学校時代の学科構成に合わせて、「紡織科」、「色染科」、「応用化学科」、「機械科」、「電気・通信科」、「秦逸三教授記念展示室」などに分けられています。
「東北地方の産業振興の基礎を築いた水資源・交通・都市基盤整備の歩みを物語る近代化産業遺産群」の「山形県の擬洋風建築等」として経済産業省の近代化産業遺産にも認定。
「山形県の擬洋風建築等」には、旧米沢高等工業学校本館のほか、文翔館(山形県旧県庁舎・県会議事堂/現・山形県郷土館文翔館)、旧済生館本館(現・山形市立郷土館)、山形市立第一小学校校舎(現・山形まなび館)、旧西村山郡役所(寒河江市郷土館)・郡会議事堂、旧東村山郡役所(天童織田の里歴史館)、旧西田川郡役所(致道博物館)、旧鶴岡警察署庁舎(致道博物館)、山居倉庫が認定されています。
旧米沢高等工業学校本館 | |
名称 | 旧米沢高等工業学校本館/きゅうよねざわこうとうこうぎょうがっこうほんかん |
所在地 | 山形県米沢市城南4-3-16 |
関連HP | 山形大学工学部公式ホームページ |
電車・バスで | JR南米沢駅から徒歩10分 |
ドライブで | 東北中央自動車道米沢八幡原ICから約7km |
問い合わせ | 山形大学工学部企画総務担当 TEL:0238-26-3005 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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