山梨県南都留郡忍野村(おしのむら)、富士山の北麓に湧く湧水池の総称が忍野八海(おしのはっかい)。富士山の雪や雨が溶岩の間で長い年月をかけて濾過され、湧出するもの。世界文化遺産「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」の構成資産にもなっています。環境省の名水百選にも選定されています。
富士講の「富士山根元八湖霊場」
忍野八海は、湧池、出口池、御釜池、底抜池、銚子池、濁池、鏡池、菖蒲池の8池の総称。
江戸時代には富士講の講中(信仰者の集まり)が富士登山の際に8つの湧泉を巡礼する「八海めぐり」が行なわれ、世界文化遺産に登録されたのもそのため。
富士登山前の禊(水行)の場にもなり、「富士外八湖」、「内八湖」、「富士山根元八湖」と呼ばれていました。
天保14年(1834年)、仏法を守護する八大竜王(はちだいりゅうおう)が祀られ、八海最大の出口池(難陀竜王/なんだりゅうおう)から順に御釜池(跋難陀竜王/ばつなんだりゅうおう)、底抜池(釈迦羅竜王/しゃからりゅうおう)、銚子池(和脩吉竜王/わしゅきちりゅうおう)、湧池(徳叉迦竜王/とくしゃかりゅうおう)、濁池(阿那婆達多竜王/あなばたつだりゅうおう)、鏡池(麻那斯竜王/まなしりゅうおう)、菖蒲池(優鉢羅竜王/うはつらりゅうおう)と巡る巡礼の道「富士山根元八湖霊場」が生まれています。
外国人観光客などにも人気の撮影スポットになっている「榛の木林資料館」敷地内の榛の木池(はんのきいけ)、旅館「池本荘」脇の中池は実は忍野八海ではなく人工の池ですが、エリアとして忍野八海エリアにあるため、忍野地区を代表する絶景スポットになっています。
かつて忍野村は湖で、忍野八海は湖底の湧水だった
忍野村周辺の盆地には、広大な宇津湖(うつこ)と呼ばれる湖がありましたが、延暦19年(800年)の富士山の延暦大噴火(北東山腹の大噴火)で鷹丸尾溶岩と檜丸尾第2溶岩が流出。
宇津湖は流れる溶岩によって忍野湖と山中湖の2つに分断されました。
やがて浸食がすすみ、忍野湖は、桂川へと水が流出し、干上がって、湖底にあった湧水群が地表に現れます。
これが忍野八海です。
富士山の伏流水が溶岩層の上にある砂礫層(忍野古富士上部火山砂礫層)を流れ、最上部(地表部分)の火山砂礫・粘土層の隙間から湧出するもの。
名称 | 忍野八海/おしのはっかい |
所在地 | 山梨県南都留郡忍野村忍草 |
関連HP | 忍野村公式ホームページ |
電車・バスで | 富士急行線富士吉田駅から富士急行バス内野行き、内野経由平野行きで17分、お宮橋下車、徒歩5分 |
ドライブで | 東富士五湖道路山中湖ICから約3.5km |
駐車場 | 周辺の有料駐車場を利用 |
問い合わせ | 忍野村観光産業課 TEL:0555-84-3111/忍野村観光案内所 TEL:0555-84-4221 |
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