甲斐駒ヶ岳

甲斐駒ヶ岳

南アルプス(赤石山脈)北部、山梨県北杜市と長野県伊那市にまたがる、標高2967mの秀峰が、甲斐駒ヶ岳(かいこまがたけ)。正式名は駒ヶ岳ですが、山梨県側からの印象的な眺めと、黒戸尾根というメインの登山道で、甲斐駒ヶ岳と通称されています。深田久弥の『日本百名山』にも選定。

南アルプス屈指のアルペン的な山容

甲斐駒ヶ岳
山麓の白州側から鋸岳、烏帽子岳、甲斐駒ヶ岳(左端)のアルペン的な風貌

花崗岩の岩峰で、山麓の尾白川渓谷や白州は名水の里として有名です。
駒ヶ岳を冠する独立峰は、北海道駒ヶ岳から箱根駒ヶ岳まで、全国に18座もありますが、中央アルプスの主峰・木曽駒ヶ岳(2956m)を抑えての最高峰が甲斐駒ヶ岳。

伊那谷からは東西に1位、2位の駒ヶ岳を眺めますが、東駒ヶ岳(甲斐駒ヶ岳)、西駒ヶ岳(木曽駒ヶ岳)と通称されています(両方の駒ヶ岳ともに伊那側にも接しているので伊那駒ヶ岳と呼ばれてもいい場所にあります)。

『日本百名山』の深田久弥は、「甲斐駒ケ岳は名峰である。もし日本の十名山を選べと言われたとしても、私はこの山を落とさないだろう」と、山梨県側から一気に山頂まで駆け上がるその迫力ある山容を絶賛しています。

山梨県側登山口の山麓の北杜市白州町・横手集落には横手駒ヶ岳神社、白州町・竹宇(ちくう)集落に竹宇駒ヶ岳神社が鎮座し(開山時には神仏習合で不動明王が本尊でした)、宗教登山時代の歴史を伝えています。
開山は定かでありませんが、江戸時代後期の文化13年(1816年)、信州・諏訪の小尾権三郎(おびごんざぶろう)が現・横手駒ヶ岳神社から山頂に到達したことが記録されています(ただし権三郎がどのルートを通って開山したかは不明)。
小尾権三郎は、甲斐駒ヶ岳の開山の功績を称えて、黒戸尾根6合目の不動岩に「大開山威力大聖不動明王」として祀られています。
江戸時代には木曽御嶽山を登拝する御嶽講と同様に、駒ヶ岳講が組織され、講中登山が行なわれましたが、その登拝ルートが延命行者と称された小尾権三郎が拓いた黒戸尾根です。

山頂の一等三角点は、明治24年7月14日に設置、明治35年には、ウォルター・ウェストンが黒戸尾根から登頂、大正6年には、七丈小屋が営業を開始しています。

登山ルートとしては、南アルプス最深部、仙丈岳との鞍部にある北沢峠バス停(山梨県側・広河原から南アルプス市営バス、長野県側戸台口から南アルプス林道バス利用/土砂崩れによる運休などの場合があります)から駒津峰を経由する稜線ルート、仙水峠(仙水小屋)を経由するルートが最短で、ともに所要4時間20分。
北沢峠は標高2032mの高所に位置し、「北沢峠こもれび山荘」(旧長衛荘/要予約)、山梨県側・標高1980mの「長衛小屋」(要予約)に宿泊すれば、行程に余裕が生まれます。

伝統的な登山道である黒戸尾根コースは、竹宇駒ヶ岳神社または横手駒ヶ岳神社を起点に、途中の笹平で合流し、七丈小屋まで7時間、山頂まではさらに2時間30分のロングコース。
北アルプス裏銀座の烏帽子岳に登るブナ立尾根、谷川岳に直登する西黒尾根とともに日本三大急登にも数えられています。
黒戸尾根を使って登山する場合には、七丈小屋(要予約/山麓にある「アグリーブルむかわ」の姉妹施設で、「アグリーブルむかわ」、「七丈小屋」の両方に宿泊の場合は登山口までの送迎サービスも)で宿泊するのが一般的。
「七丈小屋」は長大な黒戸尾根における唯一の山小屋ですが、宿泊人数が限られるので、早めの予約が必要。
テント場も30張程度と狭いので、シーズンの週末はスペースがなくなることも(場所は先着順)。

甲斐駒ヶ岳
山頂から鳳凰三山(左端)、北岳方面の眺め(快晴なら鳳凰三山の上に富士を眺望)
甲斐駒ヶ岳
名称 甲斐駒ヶ岳/かいこまがたけ
所在地 山梨県北杜市白州町横手・長野県伊那市長谷黒河内
関連HP 北杜市公式ホームページ
電車・バスで JR長坂駅、小淵沢駅、日野春駅からタクシーで15分で尾白川渓谷駐車場
ドライブで 中央自動車道長坂ICから約13km、須玉ICから約15kmで尾白川渓谷駐車場
駐車場 尾白川渓谷駐車場(100台/無料)
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
尾白川渓谷

尾白川渓谷

山梨県北杜市、標高2967mの甲斐駒ヶ岳を源とする雄大な渓谷が尾白川渓谷(おじらがわけいこく)。上流部の花崗岩(かこうがん)層を通った清らかな水は、「名水百選」に選ばれ、「南アルプスの天然水」としても有名。美しい花崗岩の渓谷には登山道が設け

甲斐駒ヶ岳・黒戸尾根ルート

甲斐駒ヶ岳・黒戸尾根ルート

山梨県北杜市、甲斐駒ヶ岳の表登山道で甲斐駒ヶ岳を『日本百名山』に選定した深田久弥も「日本アルプスの中で一番つらい登り」と記したのが、黒戸尾根ルート。宗教登山時代に駒ヶ岳講が登拝に使った歴史ある登山道ですが、日本三大急登にも数えられるロングコ

 

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