小金ヶ嶽(多紀アルプス)

小金ヶ嶽(多紀アルプス)

兵庫県丹波篠山市から丹波市にかけて連なる多紀連山は、標高こそ800mに満たないのですが険しい山容から多紀アルプスと通称されています。修験道全盛期に、吉野の金剛蔵王権現を祀る蔵王堂があったのが小金ヶ嶽で、チャート(珪石)の露岩が多く、もっともアルペン的な山容の山となっています。

三岳修験道が栄えた歴史を秘める霊山

日本海へ注ぐ由良川水系と瀬戸内海に注ぐ加古川水系の源流となる中央分水嶺。
西から西ヶ嶽(727m)、三嶽(御嶽793.2m)、小金ヶ嶽(725m)と続いています。
中央分水嶺ながら、多紀連山は兵庫県(大部分が丹波篠山市)で、多紀連山県立自然公園に指定される豊かな自然が残されています。

中世(平安時代末期〜室町時代)には三嶽(御嶽)の南山腹7合目に新金峯山大岳寺(全山の中核的寺院)、小金ヶ嶽の山頂に蔵王堂、三嶽(御嶽)の頂に行者堂、そして小金ヶ嶽の麓に宝塔山福泉寺があり、吉野大峰山に対抗する三岳修験道としても栄えました。

伝承によれば文明14年(1482年)、吉野大峰山の僧兵による襲撃で焼失、その後は荒廃し、大岳寺跡、福泉寺跡、聖の泉、様々な行場が残るのみとなっています(天正年間の戦乱で荒廃とする説もあり定かでありません)。
小金ヶ嶽には蔵王堂があったことから往時には蔵王ヶ嶽と呼ばれていました。

修験道としての登拝ルートは、東の筱見四十八滝(ささみしじゅうはちたき)から小金ヶ嶽、三嶽(御嶽)の行者堂へと至るもので、金剛界廻り、さらに三嶽(御嶽)から西ヶ嶽を経て養福寺に下るものが胎蔵界廻りと呼ばれ、多くの修験者で賑わったと伝えられています。

現在では、小金ヶ嶽の西、三嶽との鞍部である大たわ(標高512m、「たわ」=撓むの当て字で、山の稜線の鞍部という意味)には車道(兵庫県道301号本郷東浜谷線)も通じているのでここを起点とするのが最短の登山コース(小金ヶ嶽山頂まで徒歩1時間弱)。
途中には鎖場もあるので軽登山の装備は必要となります。

南麓の火打岩近くにも多紀連山登山者駐車場が用意され、山頂まで2時間。
筱見四十八滝キャンプ場を起点とすると片道3時間のハードコースとなります。

小金ヶ嶽(多紀アルプス)
名称 小金ヶ嶽(多紀アルプス)/こがねがたけ(たきあるぷす)・
所在地 兵庫県篠山市本郷・火打岩・上筱見
ドライブで 舞鶴若狭道丹南篠山口ICから15km
駐車場 大たわ駐車場(30台/無料)、多紀連山登山者駐車場(無料)
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

 

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